静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

上位進出に向けた起爆剤となるか。アーリーエントリーで加わった2人が先発出場へ

前節、コベルコ神戸スティーラーズ戦では一時、14点のリードを奪いながら自滅のような形で逆転され、非常にもったいない敗戦で3連勝を逃した静岡ブルーレヴズ。しかも、この試合で負傷者が続出するという不運もあった。そんな中、4週間ぶりのホストゲームで迎えるのは現在3位の強豪、東京サントリーサンゴリアス。難しい試合にはなるだろうが、フレッシュな力を生かして勝つことができれば、チームとして大きな自信をつかめる一戦だ。

その意味で非常に楽しみなのは、先発予定が発表されたアーリーエントリー制度で加入した新人2人、家村健太と槇瑛斗だ。チームに合流してまだ1カ月経たず。槇は前節、後半22分から初出場したが、先発は初めて。家村は初出場となる。

その大抜擢の理由について堀川隆延ヘッドコーチは次のように語る。

「けが人の状況やゲームの内容を含めて見たときに、いまいるメンバーの中で実力的にプレーできると判断しました。2人は大学時代に国立競技場など大舞台を踏んでいる経験があるので、プレッシャーの中でもやれると思うし、練習でもすごく良かったので本当に楽しみです」

もちろん本人たちも、このチャンスを非常に楽しみにしている。

「2人ともすごくワクワクしています。僕は前節ではボールタッチができなかったので、どんどん外からボールを呼んで、ボールを触りにいって自分の持ち味である強いキャリーというところを出して、トライを取りたいと思っています」(槇)

「試合に出たい気持ちがいっぱいだったので『来たっ!』と思いました。僕はキックが持ち味なので、まずはキックでフォワードを前に出すことやゲームを作っていくこと。体を張ることも強みにして、特に今回、そこを頑張っていきたいです」(家村)

2人とも“レヴズスタイル”との相性が良く、「家村はうちのフォワードを生かすキックが非常にいいし、槇は1対1を作ったら必ず1人は抜いていくと思います」と堀川ヘッドコーチは期待を寄せる。

年齢に関係なく、力のある選手、調子の良い選手を使うというのはヤマハ時代からの伝統でもある。22歳の即戦力たちがチームの起爆剤になれば、上位進出に向けて光が見えてくることだろう。

(前島芳雄)

アーリーエントリーで先発出場予定の槇瑛斗選手(左)、家村健太選手


東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)

9月の大舞台よりも目の前の“いま”。中村亮土はどん欲に強さを追い求める

2年目のNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1は早くも折り返しの第9節。7連勝の勢いのまま後半戦に突き進みたい東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)の次なる試合は、静岡・ヤマハスタジアム(磐田)に乗り込んでの静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)戦だ。

シーズン後半を迎えるということは、9月のラグビーワールドカップ開催も近づいてきていることを意味する。ラグビーワールドカップ開幕まで200日を切った今週から日本代表選手たちは代表スタッフとのミーティングが週1ペースで組まれ、現在の状況確認と課題の把握を随時、繰り返していくという。少しずつ、臨戦体制が醸成されつつある。

だが、代表でも東京SGでもセンターの主力を務める中村亮土は「正直言って、いまはラグビーワールドカップのことは考えてないです」と語り、こう続ける。

「注力すべきは、目の前のリーグワンのことだけ。自分のスタンダードをいかに落とさず、日々の練習と試合に取り組んでいくか。(昨年6月に)首の手術をして、まだ手術前の体に戻っていない。まだまだ体を強くしていきたい」

その目の前の相手である静岡BRは伝統的にスクラムやモールが強く、セットピースを得意とする。だからこそ、「接点で負けないようにしたい」と中村亮土は強く言い切る。

「クワッガ・スミスという強烈なジャッカルプレーヤーがいる上に、フォワード陣にはすごく圧力があり、ブレイクダウンを乗り越えていく組織的な力もある。とにかく『接点』が強いので、その接点で負けないように。そこで受けに回らず、逆に僕らの強みにしていかないと」

現状を冷静に分析する中村亮土に対し、田中澄憲監督も大きな信頼を寄せる。

「亮土はもともとフィジカルの強い選手ですけど、ここにきてより締まった体になってきた。ワークレート(運動量)の高さもGPSのデータで明確に表れています。味方のトライをお膳立てするような、目に見えないプレーもある。代表でもリーダーグループに入っているように、チームをけん引してくれる非常に大事な存在です。そして、自分自身でも現状に満足することなく、新たな強みを作ろうという成長意欲がある。最近もジャッカルの練習をしていましたよ。まだ試合では見せてもらってないですけどね(笑)」

さらなる高みを目指す男が攻守の砦としてセンターに君臨する。これほど頼もしいことはない。

(オグマナオト)

東京サントリーサンゴリアスの中村亮土選手。「接点で負けないようにしたい」


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