コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスB)

毎試合、“主役”を狙う203cm。王者を倒し、圧倒的ヒーローになる

神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)を迎撃した前節。コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)は終盤の大逆転劇で前々節からの連勝を飾った。同じくホストゲームとなる今節は、首位を走る埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)を迎える。後半戦最初のゲームともなり、6位からの浮上にはずみをつけたい一戦だ。

プレーヤー・オブ・ザ・マッチ、JD・シカリング。

好プレーを見せた選手が多かった前節の神戸Sで、「最も活躍した選手」に選ばれたのは南アフリカ出身のロックだった。

「神戸Sに来て2シーズン目ですが初めて。特別で光栄だなと感じました」

その理由は、痛快だ。

「プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれるのは、スコアしまくっているバックスばっかりじゃないですか(笑)。その中で、泥臭い仕事が主になっているフォワードとして選ばれたことは、本当に特別で光栄な瞬間でした」

ジョークを交えた言葉に込められたのは、フォワードとしての譲れない矜持だろう。ロックらフォワードが泥臭いプレーでチームを支える瞬間は矢継ぎ早に訪れる。その一つひとつが流れをつかむための重要な局面。前節の彼は相手が得意とするラインアウトで何度も上回ってみせた。

「ラインアウトスティールが3本あったと思うんですが、チームとしてのシステムをしっかりと構築して、そのシステムを全員が共通理解をもって取り組めたからこそだと思います」

2季目となる日本のラグビーを体感する中、「慣れてきて感覚はすごく良い」と充実感をのぞかせる27歳。今節の相手、埼玉WKは言わずと知れた昨季王者だが、203cmのロックは動じない。

「(埼玉WKは)良いチームなので間違いなく難しいゲームになると思います。だからといってそんなに相手のことを考えすぎるんじゃなく、『自分たちにはこれだけのことができるんだ』、『俺たちはこういうふうなことができるんだ』ということにあらためて焦点を当て、自分たちのやるべきことをやりたい」

「2戦連続でプレーヤー・オブ・ザ・マッチは狙いますか?」

この問いかけに「もちろんでしょう」と威勢よく切り返し、「というか、毎回、狙ってます!」と豪快に笑ったJD・シカリング。圧倒的にキラめく"泥臭さ”で、チームメートと今節の勝利をつかみにいく。

(小野慶太)

前節ではプレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞したコベルコ神戸スティーラーズのJD・シカリング選手


埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)

迫力の攻撃のベースにあるのは強固な守備。先発復帰の坂手淳史がディフェンスで示すプライド

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が2月26日の第9節の交流戦、ビジターゲームでコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)と対戦する。無傷の8連勝で首位を走る埼玉WKと、4勝4敗で6位に位置する神戸S。埼玉WKは、上位追走を狙う神戸Sを撃破して勝利を積み上げていく。

埼玉WKは前節、花園近鉄ライナーズ戦に41対6で勝利、破竹の8連勝でジャパンラグビー リーグワン初年度から続くリーグ戦の連勝記録を22に更新した。稲垣啓太がジャパンラグビー トップリーグ、リーグワン通算100試合出場を達成したこのゲームでは、堀江翔太が今季初先発し、仲間の記録達成に花を添えた。ヴィンス・アソ、ヴァル アサエリ愛らのトライで得点を重ねると、山沢拓也の縦横無尽のパフォーマンスで勝利を決定付けた。

リーグ折り返し初戦の大一番となる神戸S戦は、前節でサブスタートとなった坂手淳史キャプテンが先発復帰。ジャック・コーネルセンも先発に名を連ねた。迫力の攻撃を展開する埼玉WKだが、そのベースにあるのは頑強な守備にほかならない。

今季8試合の総失点99はリーグ最少で、12チーム中唯一の2ケタ。失点数が二番目に少ない東京サントリーサンゴリアスが156点となっている。その数字からも、埼玉WKのディフェンス力が際立っていることが理解できる。

守備の中心にいるのは、日本代表でもキャプテンを務める坂手だ。国内屈指の心技体を備えるフッカーは、トレーニングからチームを力強くけん引。チームメートと常にコミュニケーションを図り、守備ベースを構築。抜け目のない網のような守備体系をつくり上げている。

坂手は常日頃から、「ディフェンスは、チームのプライドを表現するところ。一戦一戦出た課題を修正していくことによって、チームは強くなっていく。勝利に満足せず、自分たちのラグビーを突き詰めていく」と話している。敵地での神戸S戦は、プライドを示す場所だ。

日本代表やワールドクラスのスターが集結しているチームだが、その中心にいるのは坂手だ。今節も彼のキャプテンシーと実行力、責任感がチームを勝利に導いていく。全幅の信頼を集めるキャプテンは、伝統の一戦でチームの“矜持”を示していく。

(伊藤寿学)

埼玉パナソニックワイルドナイツの坂手淳史キャプテン。「ディフェンスは、チームのプライドを表現するところ」


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