三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)
途中出場でつかんだ自信を胸に。
初先発のルーキーが「ミスを恐れずに」王者に挑む
NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1 カンファレンスA後半戦最初の試合となる第12節。三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)は埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)と秩父宮ラグビー場で対戦する。
前回の対戦は、今季昇格チームと昨季覇者の無敗対決として注目を集めた。その試合で勝利し、いまも無敗を続ける埼玉WKとの今節は、相模原DBがディビジョン1の戦いを通じてどこまで力をつけてきたかを計る試金石になる。
スクラムハーフには、これまですべての試合に先発したキャプテンの岩村昂太に代わり、22年に加入した柴田凌光が入る。5歳からラグビーを始め、秋田工業高校から東海大学に進学。最終学年は大学選手権でベスト4まで進んだ。
昨年は、相模原DB所属の新人選手たちによるニュージランド留学でメンバーから唯一、地域の「クラブラグビー」に出場。スターティングメンバーにも選ばれて、優勝に貢献した。今季はリーグ戦で2試合に途中出場。初キャップのコベルコ神戸スティーラーズ戦では後半36分から入り、直後の攻撃からテンポよくパスを供給。チームは最終盤でギアを上げ、7フェーズ目でトライにつなげた。
「自分のテンポでトライを取れたことが自信になりました」。柴田はデビュー戦のプレーをこう振り返る。途中出場では、「流れを変える、テンポを上げる」ことを意識してプレーしているという。
岩村キャプテンからは、リーダーシップやコミュニケーションなどで“9番の重要な役割”を学び、迎える初先発。「これまでよりも長い時間のプレーになります。スタートからオーガナイズをして、一つひとつのプレーの精度を落とさないように気をつけて、自分の役割を果たすことに集中します」(柴田)。
「緊張はありますが、ミスを怖れずに頑張りたい」と意気込みを見せるルーキーが、相模原DBのセカンドレグの幕を開ける。
(宮本隆介)
埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)
守るべきものが一つ増えたラガーマン。
チームとともに進化を続ける
首位・埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)は3月19日のNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1 第12節、ビジターゲームで8位・三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)と対戦する。舞台は秩父宮ラグビー場。午後2時半キックオフとなる。
埼玉WKは第3節のホストゲームで相模原DBと対戦。そのときは40対5で勝利を収めた。守備では相模原DBの強力な攻撃陣をノートライに封じると攻撃では6トライを奪って快勝している。あれから約2カ月半、埼玉WKは無敗ロードを爆走中。前節の東京サントリーサンゴリアス戦では前半を終えて3対17と窮地に追い込まれたが、後半にラクラン・ボーシェーのトライで反撃の狼煙を上げると猛攻を見せて41対29で逆転勝利を果たした。
破竹の11連勝を見せる埼玉WKは、リーグ戦32連勝中。不戦敗を除いて公式戦44試合で無敗(43勝1分)。リーグワン連覇へ向けて加速するチームに頼もしい仲間が戻ってきた。南アフリカ代表のダミアン・デアレンデだ。2019年、2020年と埼玉WKでプレーしたセンターは今季、再び熊谷へ戻ってきた。
今季は、開幕3戦まで先発出場し3連勝に貢献。強度あるプレーでディフェンスラインを支えると、カウンターの起点として迫力ある前進を繰り返した。
第3節終了後の1月上旬に、第二子出産立会いのため一時帰国し、チームを離脱。「出産のための帰国を認めてくれたチームに感謝している」(ダミアン・デアレンデ)。そして、夫人の出産を経て2月中旬にチームへ戻ってきた。第8節の花園近鉄ライナーズ戦で復帰すると、再びチーム連勝の大きな力になっている。
ダミアン・デアレンデは「連勝が続いているが、相手にフォーカスするのではなく、自分たちにフォーカスを当てていくことが必要。埼玉WKは常に進化していけるチームだ」と話す。
3月上旬には夫人、2歳の長男、生後6週間の長女の3人が来日。熊谷での家族4人での新しい生活が始まっている。オフには、家族でリラックスする時間が多いという。
「日本にはゆっくりと子育てができる環境がある。ピッチでは良きプレーヤーであるとともに、家庭では良き父親になりたい。できる限りのことをやって、子どもたちを健やかに育てていきたい」
シーズンはいよいよ佳境を迎える。「1試合1試合、チームの課題を改善して積み上げていくだけ。困難を乗り越えた先に結果がついてくると思う」(ダミアン・デアレンデ)。リーグ戦は残すところ5試合。ダミアン・デアレンデは、ラガーマンとして、また父親としてシーズン終盤のゲームへ向かっていく。
(伊藤寿学)