2023.04.14D2 1位~3位順位決定戦 第2節 S愛知 vs 三重H-見どころ

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

返り咲きへの強い思い。歴史を知る男たちの“ギラギラ”

センター発、フランカー/フッカー経由、プロップ行きというユニークなルートをたどってきた豊田自動織機シャトルズ愛知の南友紀選手

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2の順位決定戦第2節は、総当たりのリーグ戦を2位で終えた三重ホンダヒート(以下、三重H)と3位の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)の対戦。会場は愛知県一宮市にある一宮市光明寺公園球技場だ。

S愛知にとっては、入替戦前の最後の一戦となる。勝利を目指すことはもちろんだが、「勝っても、何か得るものがなければいけない」(徳野洋一ヘッドコーチ)。結果どうこうの前に、チームとしての成長を感じられる試合にすることが重要だ。

また、前節の浦安D-Rocks戦から中5日での試合となるS愛知は、前節から先発4人のメンバー変更を行った。その中の一人、プロップで先発予定の南友紀は、総当たりのリーグ戦第10節以来、二度目の出場となる。実妹は女子ラグビー日本代表のキャプテンを務めた南早紀さん。兄もラグビーをしており、ラグビー一家として育った。

「大学3年生までセンターをしていました。そこからフランカーとフッカーを経験して、S愛知に来たときにプロップになりました。歴としては短いので、すべてのことにハングリーな気持ちでやっていきたい」(南)。これだけポジションを変えてきたのも「生き残るため」。今季はけがの影響で出遅れたが、スクラムでの強さを武器に戦う。

南は、大学卒業後、JR九州で約1年経験を積み、ニュージーランドにラグビー留学をした。トライアウトを経てS愛知に加わったが、加入初年度にチームはトップチャレンジリーグで戦うことになった。

その南より1年前にS愛知に加入した中村大志はトップチャレンジリーグに降格した当時の状況について「チームが同じ方向を向いていないと1年目ながらに感じていました」と語る。筑波大学出身で、今季もここまで9試合に出場している27歳は、「チームが降格したあと、徳野(洋一ヘッドコーチ)さんが来て変わりました。そして今季トップリーグであるディビジョン1に戻れるチャンスを得ることができて、“燃え上がるモノ”があります」と再びトップの舞台で戦うことを夢見ている。

再びディビジョン1で戦うために。苦しんだ歴史を知るメンバーのギラギラさにも注目してほしい。

(齋藤弦)


三重ホンダヒート(D2)

残り4試合全部勝つ。
地元鈴鹿出身の9番が燃やす闘志

同じスクラムハーフの根塚聖冴選手は「イケメンなので、女性ファンも多いと思います」。自身は「おじさんに人気なんで(笑)」と語る三重ホンダヒートの山路健太選手

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2 総当たりのリーグ戦を8勝2敗の2位で終えた三重ホンダヒート(以下、三重H)。今季の最大の目標であるディビジョン1との入替戦を前に、まずは同3位の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)との順位決定戦初戦に挑む。

中止を除く9試合すべてに出場した、チーム在籍12年目のベテランのスクラムハーフ山路健太は、「昨年悔しい思いをしたので、絶対にディビジョン1に上がるという気持ちがさらに強くなっています。ここからは本当に負けられない戦い。僕個人は楽しみな気持ちしかないですね。チーム力をさらに上げて、最終的にいい形で終われたらと思っています」と闘志を燃やす。

総当たりのリーグ戦の9試合のうち8試合で9番を着けて出場した山路。自らの武器は「ラックのときにボールをうまくさばけることと、ゲームテンポのコントロール」だという。

「ゲームを動かすときに最初にボールを触ってスタートするポジションで、ゲームのリズムを変えるのが9番の仕事。常に速いテンポでやればいいというものでもなく、ゆっくり落ち着かせて自分たちの形で攻撃する。良い形でできているときは攻撃のテンポを上げる。ラックから常にきれいな状態でボールが出てくるわけではないので、タイミング良くさばいて、味方が次のプレーをしやすい、良いボールを投げられるように焦らないことが一番大事ですね。若いころはがむしゃらにやっていただけなんですけど、年々考えることが増えてきて、難しいですけど楽しいです」

三重Hは、山路が先発してゲームを作り、後半途中から根塚聖冴にリレーするパターンが多い。「彼は若くてフレッシュで、足が速いので、自分でガンガン攻めていくタイプ。自ずとゲームのリズムが変わります。良い選手なので注目してほしいです。イケメンなので、女性ファンも多いと思います。僕はおじさんに人気なんで(笑)」と山路はユーモアを交えて話す。

経験豊富な山路の判断力と、周りを和ませる柔らかな人柄は、三重Hの明るいチームカラーを作り上げているようだ。

「このチームは若手がしっかりしていて、『こうしていこう』と意見を出しているので、ベテランはそこに乗っかっていくというか。若い選手が気を遣わず、のびのびとプレーできることが一番大事なので。アメとムチというか、僕の場合はアメ専門なんですけど」

風通しの良い雰囲気を作りながらも、グラウンドではシーズン終盤にもかかわらず、疲れも見せない。誰よりも大きな声を出しながら縦横無尽にグラウンドを駆け回り、背中で引っ張っていく。

「僕は地元の鈴鹿出身なので、自分が頑張ることで、三重県でラグビーをやっている子どもたちや鈴鹿出身の人たちが『自分も頑張ろう』という気持ちになってもらえたらと思っています。特に僕は体が小さいので、小柄な子どもたちに勇気を与えられる存在になれたらうれしい。残り4試合は勝つしかない。勝つだけです」

(山田智子)

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