NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第4節 カンファレンスB
2024年1月6日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs トヨタヴェルブリッツ
埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)
去り行く先輩たちへの思いを胸に。埼玉WKの魔術師がチームを勝利へと導く
埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)は1月6日に熊谷スポーツ文化公園ラグビー場で開催されるホストゲームでトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)と対戦する。埼玉WKの稲垣啓太、ダミアン・デアレンデ、ディラン・ライリー、トヨタVの姫野和樹、アーロン・スミス、ボーデン・バレットら国内外有数のスタープレーヤーの夢の競演となる。
埼玉WKの小山大輝はトヨタV戦のメンバーに入り、開幕から4試合連続でスタメン出場となる。大東文化大学を卒業した2017年に加入し、今季で7季目。昨季まではレギュラーポジションを完全につかみ取るまでには至らなかったが、今季は不動のレギュラーに定着。縦横無尽のパフォーマンスを見せている。
開幕戦の横浜キヤノンイーグルス戦では、前半8分にパスを警戒する相手ディフェンスの裏をかくようにラック横のギャップを縦へすり抜けて、今季のチームのオープニングトライを決めた。小山は変幻自在のパスとスピードあふれるシャープな動きで攻撃をコントロール。チームは開幕戦で53点、第2節・花園近鉄ライナーズ戦で49点、第3節リコーブラックラムズ東京戦で44点を挙げて開幕3連勝となる中、攻守一体の動きで進撃の立役者となっている。
昨季のプレーオフトーナメント決勝では内田啓介がスタメン出場し、小山はリザーブに回って途中出場した。前節の試合後には、内田が100キャップ達成のセレモニーで今季限りでの現役引退を発表。その報告を受けたあとでの試合だけに、同じポジションとして大きな責任を感じている。
「内田選手にはラグビーに対する姿勢、ゲームコントロールの面など多くのことを教えてもらいました。まだ、すべてを学べていないので、トレーニングから多くを盗んでいきたいと思います」
スタメン起用となり、タスクは増えている。小山は「昨季は途中からだったのでガンガン行けたが、今季はスタメンなのでゲーム全体の流れを見てリズムを生み出すようにしている。(連係が向上しているのは)自分だけの力ではなくチームとして成長できている証。ワイルドナイツのスタイルが自分に合っていると思います」と話す。
今節の相手であるトヨタVにはニュージーランド代表オールブラックスのアーロン・スミス、ボーデン・バレットも在籍。世界最高峰のハーフ団を相手に埼玉WKはどんな戦いを見せるのか。
「堀江(翔太)選手と内田選手は今季でチームを去ることが決まった中で、負けられない戦いになります。他クラブが補強をしている中で、ここから一戦一戦すべてが重要なゲーム。その中で自分の役割を果たして、チームを勝利に導きたいと思います」
パスセンスとスピードを備えた魔術師がトヨタV撃破のキーマンとなる。
(伊藤寿学)
トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)
やるべきことをコツコツと。
その先にある、「トヨタVを優勝させる」という目標
上位進出を虎視眈々と狙うトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)の新年最初の試合は、目下3連勝中の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)とのビジターゲーム。いきなりの大一番である。
ニュージーランド代表オールブラックスで120を超えるキャップを持つアーロン・スミスとボーデン・バレットに注目が集まりがちなトヨタVだが、今季は若手の成長もチームに勢いを与えている。その象徴となっているのが加入3年目の小池隆成。前節・三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では、ジャパンラグビー リーグワン初先発を果たし、さらにプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POTM)にも輝いた。
「(POTMは)単純にすごくうれしい。自分に求められているプレーをやるだけだと意識しましたが、それが評価されたのですごく自信になりました」(小池)
ルーキーイヤーに一度メンバー入りを果たしたことはあったが、新型コロナウィルスの影響で試合自体が中止となり、今季の開幕までリーグワンでは出場経験のなかった小池。飛躍のきっかけは昨年夏のニュージーランド留学だった。
「コンタクトが強いニュージーランドで、何週間も連続で80分間出場できたのは自分のフィジカルにとって大きかったし、何より経験になりました。ニュージーランドのラグビーのカルチャーとしてある『自分の持っているものすべてをその場で出す』ということが、自分にとてもフィットしていたのも大きかったですね」
キャプテンの姫野和樹からは「考え過ぎるな」とアドバイスを受けているという小池。昨季までとやっていることはそれほど大きく変わらないものの、188cm106kgというフィジカルは世界でも通用すると確信し、メンタルをポジティブに変えられたことが出番を増やした要因となった。
そして今節、小池が楽しみにしているのは、U17日本代表で一緒だった福井翔大との対戦。合宿では同部屋で仲もよく、本当に尊敬できる同級生だという。そんな福井は先に日本代表に選出されている。「早く追い付きたいね」と問いかけると、小池は胸を張ってこう答えた。
「それよりもまずトヨタVを優勝させること。日本代表はその先にあると思います」
自分のやるべきことをしっかりと完遂し、目の前の目標をコツコツと乗り越えていく。小池の実直さはプレーにもよく表れている。
(斎藤孝一)