2024.01.07NTTリーグワン2023-24 D3 第3節レポート(WG昭島 39-24 中国RR)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第3節
2024年1月6日(土)14:30 AGFフィールド (東京都)
クリタウォーターガッシュ昭島 39-24 中国電力レッドレグリオンズ

輪島市への思いを胸に。
江本洸志が手繰り寄せた今季初勝利

「輪島のために、と思ってプレーしました」と語ったクリタウォーターガッシュ昭島の江本洸志選手

NTTジャパンラグビーリーグワン 2023-24 ディビジョン3第3節。クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)を39対24で破り、今季初勝利を手に入れた。ホストゲーム開幕戦となったAFGフィールドではリーグワン初年度から負けなしの6連勝となり、不敗神話も継続された。

苦しい前半だった。中国RRのフォワード陣のプレッシャーに押され、ゴール前での再三のチャンスを生かし切れず、4点ビハインドのままハーフタイムへ。そんな流れを変えたのが、後半13分に投入された杉原駿だった。

「自分の役割としてはアタックのテンポアップをすること。それを意識して試合に臨みました。後半に入ってから、相手が疲れてきて、ラックサイドが空いたのが見えたので、ここだと思って走りました」(杉原)

前半のフォワード戦で「足を使ってしまった」(西川太郎)という中国RRから、杉原が反撃の狼煙を上げるトライ。その後も、WG昭島の強力なバックス陣がトライを重ね、勝利を決定づけた。

また、この試合で最も大きな歓声を浴びていたのは、プレーヤー・オブ・ザ・マッチにも選ばれた江本洸志のランだ。ディフェンスの間をするすると抜けていくたびにスタンドが大きく沸いた。

「開幕から思ったようなプレーができませんでしたが、今日は濱さん(濱副慧悟)がいなかったので、アタックだけに集中しようと思いました」と試合を振り返る江本には、もう一つ負けられない理由があった。

「今週はあまりいいメンタルを保てなかったです。友だちの家が崩壊したり……。輪島のために、と思ってプレーしました。それが結果につながってよかったです。ただ、今日の活躍だけでは(輪島の)力にはなれないと思うので、これからも頑張っていきたい」

関西出身の江本だが、高校は日本航空高等学校石川(石川県輪島市)へ進み、3年間を過ごしている。その胸に、第2の故郷への思いを秘めて臨んだ試合だった。WG昭島は今季の初勝利をつかみ、ここから這い上がる。江本もまた、強い思いを胸に、これからも走り続ける。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズの岩戸博和ヘッドコーチ(左)、西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ

「前節できなかったことにフォーカスをして、今日の試合に臨みました。その部分はしっかり修正できましたが、クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)の個々の選手が強かったです。後半、足が止まったところで、WG昭島の強いランナーに状況を打破されてしまいました。また次節に向けてチームひとつになって成長していきたいです」

──勝利に必要なことは?

「基本のプレーを大事にする。そこをきっちりできないと勝ちにはつながらないと思います。そこは、うやむやにしてほしくない。今日の試合も評価できることはあったので、ネガティブには捉えていません。が、勝ちたかったです」

──次節に向けて。

「ウチはディフェンスのチームだと思っているので、どこまで、真面目にディフェンスをし続けられるか。いかにロースコアに持ち込めるかが重要だと思います。あとは宮嵜(隼人)のキックを混ぜながら、80分間緊張し続けるような試合をしたいです」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン

「悔しい、の一言に尽きる試合でした。フォワードに関してはスクラム、モールともに、試合前にフォーカスしたことができて、収穫のあった試合でした。後半はWG昭島のアグレッシブなアタックの前にディフェンスする時間が多くなってしまったのが敗因だと思います。まだシーズンは続くので、リカバリーして次節に臨みたいです」

──具体的に後半うまくいかなかった要因は。

「フォワードのところで、前半に足を使ってしまいました。WG昭島はセットピースが強力なので、そこの対策をしてきましたが、前半はうまくできたと思います。ただ、後半はしっかりとアタックされて、その積み重ねでゲインラインをとられてしまいました」

──次節に向けて。

「ディフェンスは全員でタックルして、起き上がって、守り続ける。ターンオーバーしたらしっかりボールを前に持っていく。全員で守って、アタックしていく。自分たちのラグビーをしていきたいです」

クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島のワイクリフ・パールー ヘッドコーチ(左)、石井洋介キャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「タフなゲームでした。開幕戦から2試合で自分たちの自信がなくなりかけていましたが、勝利して自信を持てたのはよかったです。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)はフィジカルが強いというのは分かっていましたが、そこで我慢して、キックしてインサイドに走ってボールキャリーして、最後崩すことができたと思います。特に(江本)洸志と(杉原)駿、この二人のパフォーマンスが良かったと思います」

──AGFフィールドではこれで6連勝ですが、何か特別な空気があるのですか?

「ビジターで勝利できていないだけですが……、ちょっと神がかっているとも言えますね。ファンがサポートをしてくれているおかげだと思います」

──現在のチームの完成度はどれくらいでしょうか?

「フォワードはほとんど決まっています。あとはチームワークが大事になってきます。バックスはピアーズ・フランシスが(スタンドオフに)いて、いい形のコンビネーションを探しているところです。今後は(今日の江本、杉原のように)いいパフォーマンスをした選手が選ばれていくと思います」

クリタウォーターガッシュ昭島
石井洋介キャプテン

「試合に勝つことができて、素直にうれしいです。前半はチャンスがあっても取り切れないところが多かったですが、その中でもクリタの強みのフィジカリティーを発揮できていたので、後半の中国RRの足を止めることができたと思います」

──前半2回、ラインアウトからチャンスを逃す場面があった。3回目でトライまで結び付けたが、具体的に何か修正したのか。

「(3回目の)あの場面も、われわれが求めている形でのトライではありませんでした。モールのセットアップのところで、(相手の)プレッシャーを受けて崩れたあとのトライだったので。次節までに修正したいと思います」

──次節に向けて。

「クリタのフィジカリティーは、相手チームは絶対にイヤだと思うので、この強度を継続すること。あと簡単なミスを減らすことが大事だと思います。そこができたらもっと成長できると思います」


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