NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第10節
2024年3月23日(土)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs クリタウォーターガッシュ昭島
マツダスカイアクティブズ広島(D3)
出番を待ち焦がれた二人のベテラン、
重要局面での投入へ
前回の試合である第8節・清水建設江東ブルーシャークス戦で痛い敗戦を喫してから3週間。3月23日のホストゲームにクリタウォーターガッシュ昭島を迎える一戦に向け、マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)は複数のメンバー変更を行った。
その狙いを中居智昭ヘッドコーチはこう話す。
「今節はディフェンスがキーになると思うので、スタートの15人は動き続けられて前に出られる選手を優先して選びました。しっかりとディフェンスでリズムを作り、後半にインパクトプレーヤーを投入していく意図でメンバーを構成しています」
重要な局面を迎えるに違いない後半に備え、今季初めて控えメンバーに入ったのが二人のベテランだ。36歳でチーム最年長の森悠記と、8月で35歳になる李修平が勝負どころでどんなプレーを見せるのかは、勝敗を左右するポイントになるだろう。
森は「ここまで年齢を重ねてきたぶん、経験はある。スクラムハーフの控えとして試合の状況に応じたプレーを選択していこうと思いますし、ジャージーを着る責任感をもって、チームメート、スタッフ、ファンが納得してくれるようなプレーをしっかりと体を張ってやろうと思います」と、静かに意気込みを語った。
李はすでに闘志をみなぎらせている。「『やっと来たな』というのが自分の思い。いつ、どの試合が僕の最後の試合になるか分からないと思っています。もちろんベテランらしいプレーも求められているとは思うんですが、入社1年目のような気持ちでがむしゃらにラグビーを楽しもうと思っています」。
SA広島を長く支えてきた二人は、お互いを認め合う仲。李が「締めるところはちゃんと締めてくれる頼りになる先輩。森さんがベテランらしいプレーをやってくれると思います」と言えば、森は「(李は)ラグビーIQも高いし、しっかり体を張れる選手。流れを変えるプレーをやってくれると思います」と期待を寄せている。
上位に食らい付いていくためには勝利が必須となる一戦で、修羅場をくぐってきた経験と枯渇することのないモチベーションを持つ二人が、SA広島に大きな力を与えてくれるに違いない。
(寺田弘幸)
クリタウォーターガッシュ昭島(D3)
入替戦進出の生き残りを懸けた戦いで、
テビタ・オトがWG昭島の希望の星に
クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)はBalcom BMW Stadiumで、現在ディビジョン3の3位につけているマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)とのビジターゲームに臨む。WG昭島にとっては、ディビジョン2との入替戦に進出するためにも絶対に負けられない戦いとなる。
第9節を終えた時点で2勝5敗と厳しい戦いが続いているWG昭島だが、ことアタックに関しては明るい材料が見えてきた。その中心にいるのが、バックロー(フランカーおよびナンバーエイトのことを指し、第3列とも表現される)を務めるテビタ・オトだ。
「難しい試合が続いていますが、少しずつ良くなってきていると思います。アタックはいいプレーができているので、オフ・ザ・ボールでの動きが、いまのチームの課題だと思います」
テビタ・オトはU20トンガ代表での活躍をきっかけに、日本大学から声を掛けられて来日。日本大学ラグビー部ではロックのポジションでプレーしていたが、WG昭島に加入してからはバックローが主戦場になった。そして2シーズン目の今季、テビタ・オトの活躍ぶりは数字にも表れている。現在、D3の個人ランキングで「ボールキャリー」の堂々トップを走るのは、持ち前の力強さが十分に発揮できている証だ。
「アタックで結果を出すことで、パスをもらえる回数が増えました。自分からコミュニケーションを積極的にとっていることも、いい方向に出ていると思います。1年目の失敗から学んで、改善できているのも好調の要因ですね」
将来の目標は、母国であるトンガ代表ではなく、日本代表に選ばれること。それから、スーパーラグビー・パシフィックのモアナ・パシフィカ(サモア、トンガ、フィジーにルーツに持つ選手よって編成されるチーム)でプレーすることだ。そのためには、ボールキャリーだけではなく、タックル、ジャッカル、ディフェンスでも「もっとチームに貢献したい」とテビタ・オトは話す。
入替戦進出を懸けたSA広島との重要な一戦で、どれだけ輝きを放つことができるか。テビタ・オトの活躍が、WG昭島の希望の星となってくれるはずだ。
(匂坂俊之/Rugby Cafe)