2024.04.28NTTリーグワン2023-24 D1 第15節レポート(S東京ベイ 61-24 三重H)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第15節 カンファレンスA
2024年4月27日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 61-24 三重ホンダヒート

S東京ベイには“挑戦”がよく似合う。
ひさしぶりの『えどりく』で芽吹いた新鋭

チーム公式戦通算150キャップを達成したクボタスピアーズ船橋・東京ベイの立川理道キャプテン

今季のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)は何と戦い、何に苦しめられ、何を克服してきたのだろう。接戦で勝ち切れない試合が続いた中で、浮き彫りになった現在のチームに必要なテーマとは何なのか。あくまで結果論ではあるものの、おそらくその問いかけに対する回答は、未来への模索、あるいは新たな可能性の追求、そしてそのための挑戦、ということになるのだろう。

今季最初で最後のスピアーズえどりくフィールドでのホストゲーム。チームにとっても『オレンジアーミー』と呼ばれる熱心なファンにとっても聖地と言えるこの場所で、S東京ベイは立川理道キャプテンのチーム公式戦150戦目という特別な一戦を迎えた。

フラン・ルディケ ヘッドコーチと

前半は勢いに乗る三重ホンダヒートの猛攻に苦しめられるも、地に足のついた戦いで巻き返しに成功。後半はチームの地力を発揮して大量得点。『えどりく』における公式戦無敗記録を『18』に伸ばした。

ベテラン勢の頼もしいプレー、そして新世代選手たちの躍動感あふれるファイト。敗北の中で傷つき泥だらけになりながらも信念を持って築き上げてきた“これからのスピアーズ”の姿がそこにはあった。今年入団したばかりの為房慶次朗がトライをもぎ取れば、これが公式戦初キャップとなった福田陸人も勇猛果敢なアタックを見せる。『えどりく』にとどろいた明日への咆哮。チームを指揮するフラン・ルディケ ヘッドコーチは試合後、「シーズンをとおしてけが人が多かったですが、そのたびに若手選手たちがしっかりと活躍し、選手層が厚くなりました」と目を細めた。

「チームの戦術などにも慣れてきたこともあり、ボールキャリーやタックルなどで(今回のような)プレーができるようになってきたんだと思います。高いレベル(の試合)でプレーさせていただくのはうれしいです。自分がレベルアップしてきている実感もあります。今季はあと残り1試合ですが、しっかりとやっていきたいと思います」(為房)

その為房の明治大学の先輩にあたるのが今回デビューした福田である。大学卒業後にフランカーからフッカーに転向。S東京ベイには2022年に入団するも、これまで公式戦出場の機会に恵まれなかった。そんな福田を気にかけていたのが、同じく明治大学出身で、S東京ベイ入団後にナンバーエイトからフッカーに転向した杉本博昭だった。杉本が引退を表明したシーズンのホストゲーム最終戦で福田が初キャップを飾るという偶然には、必然めいたドラマを感じざるをえない。

「(メンバー入りしたときは)めちゃめちゃうれしかったです。社会人になってフッカーにチャレンジして、やっと認めてもらえた気がしました。お世話になった杉本さんに『俺はできるぞ』というところを見せることができ、本当に良かったです」(福田)

悲壮感は、もういらない。やはりこのチームには防衛ではなく、挑戦する姿がよく似合う。

(藤本かずまさ)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(左)、立川理道キャプテン

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「今日は特別な試合を特別な場所で戦うことができました。いい思い出があり、またたくさんのファンの方たちが足を運んでくれるホームグラウンドの『えどりく(スピアーズえどりくフィールド)』で、立川(理道)選手の(チーム公式戦通算)150キャップというスペシャルな試合を戦うことができました。試合の入りはあまりよくありませんでしたが、後半はスペシャルなパフォーマンスを見せてくれたと思います。

立川選手についてはあらためて説明する必要もないかとは思いますが、物事がうまく進んでいないときにもしっかりとリーダーシップを発揮してくれる選手です。どういったことを準備して、どういったところを修正するのか。その場で実行すべきタスクを微調整してくれて、今日もリーダーシップを発揮してくれました。これこそが立川選手のスタイルです。このようなプレッシャーが掛かった状態でも、それをしっかりと見せてくれました」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
立川理道キャプテン

「前半はプレッシャーの中でスコアを重ねられて、自分たちがやるべきことを見失いかけたのですが、前半の最後の15分くらいは自分たちがしっかりとコントロールでき、2トライを返せたというのは大きかったと思います。あのときに焦らず、トライを急ぎ過ぎず、しっかりとスコアができたというのはチームの成長だと思います。

ハーフタイムでのコーチ陣、リーダー陣からのフィードバックの中で、自分たちの強みややるべきことを明確にして後半に入れたことで、後半はすごくいいスタートが切れました。ゲーム中での修正力というものが今シーズンなかなかうまくいかなかった中で、こうして成長できたというのは良かったと思います。残り1試合しっかりと勝ち切って今シーズンを終われるように、またしっかりと準備していきたいと思います」

──前半にトライを取られたあとやハーフタイム中にはどういったことを話したのか?

「基本的には自分たちのミスであったり、相手のやるべきことに付き合ってしまったりしたことが多かったと思うのですが、そこで自分たちのやるべきことを無理して変えたり、プレッシャーを受けた上で自分勝手なプレーをすることではなく、チーム全体でやってきたことを出すということを言い続けました。その結果、後半は立て直すことができたと思っています。アタックもディフェンスも一緒に戦っていくというところは変わらずできたと思います」

──チーム公式戦通算150キャップを迎えたことについて。

「150キャップをこの『えどりく』で迎えられたのは、いいタイミングだったと思います。試合の数というものは自分でコントロールできるものではありません。このようなタイミングで150キャップを迎えられたのは、特別なことだと思います。

こうやって試合を重ねられたというのは、たくさんの方のサポートがあってこそのことです。自分がプレーできる限り、そういう人たちに感謝の気持ちを持って試合をしたいと思います」

三重ホンダヒート

三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(左)、フランコ・モスタート ゲームキャプテン

三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ

「残念の一言です。前半に関しては40分間いい形でプレーができたのですが、後半はフィジカルを前面に出したクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)さんに圧倒されてしまいました。ただ、前半はいいパフォーマンスを出すことができました。最終的に負けてしまったのは非常に残念な結果でしたが、次のコベルコ神戸スティーラーズ戦、そして入替戦の2試合が残っています。ポジティブな結果と内容を出していきたいと思います」

三重ホンダヒート
フランコ・モスタート ゲームキャプテン

「ヘッドコーチが言ってくれたとおりです。ラグビーの試合というものは40分間ではなく80分間をとおして戦うものだということを、今日あらためて学ぶことができました。80分間をいい形で戦えるチームでなければならないと思いました。試合内容に関しては、次の試合、そして入替戦に向けていい準備ができたのではないかと思っています。引き続き練習を続けて、いい準備をしていきたいと思います」

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