2025.01.12NTTリーグワン2024-25 D2 第3節レポート(江東BS 24-35 釜石SW)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第3節
2025年1月11日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス 24-35 日本製鉄釜石シーウェイブス

ビジターゲームのスタンドにはためく大漁旗。声援の波に乗った釜石SWが今季初勝利

ヘンリー ジェイミー選手の活躍などで今季初勝利をつかんだ日本製鉄釜石シーウェイブス

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン2 第3節。開幕節から連敗と苦しいスタートとなった日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)の2025年は、江東区夢の島陸上競技場に乗り込んで、清水建設江東ブルーシャークスとのビジターゲームから始まった。

試合は一時0対14とリードされたものの、後半に入って逆転。終了間際にはヘンリー ジェイミーの劇的トライで勝利を決定づけた。「シーズンのターニングポイントとして、絶対に勝ちたいと思っていた」と、釜石SWのクラブキャプテン河野良太が言うとおり、チーム全員が強い気持ちで試合に臨み手にした、今季初勝利だった。

須田康夫ヘッドコーチが、「はっきり言って最低」と評した前半のプレーぶりを見事に修正し、苦しみながらも勝利をつかんだ釜石SWだが、後半の逆転を後押ししたのは、ファンの声だった。村上陽平キャプテンが、「大声援が聞こえて、後半に勢いに乗れた部分も少なからずあった」と言うように、スタンドにはためく大漁旗とともに、ファンの声は選手にも確実に届いていた。

待ち望んだ今季初勝利。一つの勝利が、チームの流れを変えるきっかけとなるのか。須田ヘッドコーチが、「『こうしたら、こういう絵になるんだよ』というのが如実に出た試合だった」と言えば、村上キャプテンは、「釜石SWは常にチャレンジャー。この勝利で波に乗って、スタンダードを下げないでやっていきたい」と前を向く。

チームが、個人が、やるべきことをすれば結果は付いてくる。そのことを実感した試合でもあり、ファンの声の力に後押しされた試合だった。スタンドから沸き起こったさざ波をビッグウェーブに育てることができるか。釜石SWのチャレンジは、まだ始まったばかりだ。

(尾田健太郎/Rugby Cafe)

清水建設江東ブルーシャークス

清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督兼チームディレクター(左)、白子雄太郎キャプテン

清水建設江東ブルーシャークス
仁木啓裕監督兼チームディレクター

「結果は敗戦という形になりましたけれども、この敗戦をどう選手、スタッフも含めて受け止めるかというところだと思っています。黙っていても次のレッドハリケーンズ大阪戦がきますので、しっかり切り替えて次戦に臨んでいきたいと思います」

──これまで接戦を勝ち切ってきたが、今日はそれができなかったことをどう受け止めていますか。

「戦術だとかという問題ではなくて、単に気持ちの差かなと思います。2連勝して、一戦一戦というところを選手にもスタッフにも言い続けてきましたが、やはり年末年始も挟んで、どこかでほころびがあったのかなと感じています」

──気持ちの部分に差があったということだが、それは試合中のどんな場面で感じましたか。

「常々、自分たちはチャレンジャーだと言い続けてきましたが、チャレンジャー精神を失っていた部分もあったのかなと。それは選手だけじゃなくて、もしかしたらスタッフも、私もどこか慢心があったのかもしれません。敗戦で勉強するのはイヤですけれども、そこは勉強させていただいた部分かもしれません」

──次戦に向けての改善ポイントは何ですか。

「戦術に関しては夏にスタートしたころから積み上がってきていますので、そこを大きく変える必要はないと思っています。気持ちの部分。ここしかないと思っています」

清水建設江東ブルーシャークス
白子雄太郎キャプテン

「今週はすごくいい、強度の高い練習をしてきて、積み上げられたと思っていたのですが、なかなか自分たちの良さだったり、プレーが出せなかったり、肝心なところでミスがあったり、そういった部分で勝ち切れませんでした」

──これまで接戦を勝ち切ってきたが、今日はそれができなかったことをどう受け止めていますか。

「勝ちへの貪欲さというか、そういうひたむきさみたいなところで日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)のほうが上回ったのかなと思います。もう1回、自分たちの練習に対する態度だとか、そういったことから見直して、しっかり積み上げていくことが重要なのかなと思っています」

──次戦に向けて改善するところは何ですか。

「自分たちがやってきたことを大きく変えるわけではなくて、精度を高めること、動き出しを早めること、オフ・ザ・ボールのところで気を利かせること、コミュニケーションを事前にとっておくこと。そういったところの小さな違いが大きな違いを生むと思うので、そういったところをチームメートと話し合って、1週間いい準備をしたいと思います」

日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブスの須田康夫ヘッドコーチ(左)、村上陽平キャプテン

日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ

「たくさんの釜石ファンが駆け付けてくれて非常に力になりました。そのおかげで後半に立て直すことができたのかなと思っております。ゲームの内容としましても、前半ははっきり言って、最低の出来だったと思います。メンバーを入れ替えてから、後半の修正力というところは非常に良くなったので、そこが勝利につながったのかなと感じています」

──ハーフタイムにどのような指示をしましたか。後半、その修正ポイントはどのような形で表現されていたと感じますか。

「前半はやるべきことをやっていなかっただけなので、大した指示はしていません。後半は『やるべきことをやりましょう』ということだけで、そこを(後半は)しっかりやってくれました。本当にそれだけ、シンプル。特に何もないです。後半で変わったのはディフェンスですね。ディフェンスのところで、二人目がしっかりファイトするところ。ゲームの中でそこが見えるようになって、セットピースもラクになり、やるべきことをやればいいんだ、という感じでした」

──ひさしぶりの勝利です。流れを変えるきっかけになりそうですか。

「まさに、こうしたらこういう絵になるんだよ、ということが如実に出たと思います。これをしっかり自信にしてもらいたいです」

日本製鉄釜石シーウェイブス
村上陽平キャプテン

「前半は受け身に回ってしまって、ずっと清水建設江東ブルーシャークスのペースにさせてしまった点は、次の試合に向けての大きな課題かなと思います。後半は一人ひとりがハードワークして、修正すべき課題に対して、チーム全体でフォーカスしてアプローチできたところが勝利につながったのかなと思います」

──ひさしぶりの勝利です。流れを変えるきっかけなりそうですか。

「後半のクオリティーを試合開始からやらないといけないし、そのクオリティーをすべての試合でムラなくやり続けるというところが、リーグワンのシーズンを戦っていく上では大事だと思います。この勝利で波に乗って、スタンダードを下げることなくやっていきたいです」

──ビジターながら釜石SWのファンも多く来場し、試合後には釜石コールもありました。

「自分たちのホームなんじゃないかというくらい大声援が聞こえてきて、それで後半で勢いに乗れた部分も少なからずあるんじゃないかと思います」

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