2025.04.03[L戸田]仕事もプレーも100%を出すのが日常。チームを背負う覚悟の根幹にあるクラブへの感謝

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第11節
2025年4月5日(土)12:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs ヤクルトレビンズ戸田

ヤクルトレビンズ戸田(D3)

出張先の岡山から試合会場がある広島でチームに合流するというヤクルトレビンズ戸田の多田潤平 共同キャプテン

「リーグワンはやはり厳しいリーグだと思いますが、やれないわけではないし、同じチームに3連敗はできません」

共同キャプテンの多田潤平が3巡目を迎える今節を前に思いを新たにしている。このまま負け続けていいわけがない、と。

多田はこれまでキャプテンとして「勝つこと」に徹底的にこだわってきた。ヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)に加入したのは2013年。数年後にキャプテンに就任したあと、チームを勝てるマインドセットに変えようと”嫌われ役”を買った。春先の練習試合で勝っても、その後の練習が緩ければ「もう優勝したつもりなの?」と強めに指摘するなど現場に厳しさをもち込んだ。順位を下から数えたほうが早かったチームが、現在のチームの基軸となる小川正志や牧野真也、古川拓実らが加入した2017-2018シーズンにはトップイーストリーグで準優勝。その後のリーグワン参入への足掛かりを作った。

「やるからには勝たないと意味がないし、応援する人も勝っているチームを応援したいと思うんです。それに勝たないと会社の支援も大きくなっていかない。キャプテンになった当時はそういう危機感が強かったんです」

大学4年生のときに試合に出ていなかった自分に声を掛けてくれ、ラグビーを続ける選択肢を与えてくれた感謝の念が根底にある。自分が加入したからには仕事もラグビーも100%でやり切り、結果も残す──。同じ信念をもつラグビー仲間に囲まれ、上を目指せたことも多田にとっては幸運だった。

今季、昨季までの選手兼コーチの立場から選手専任に戻ったのも、フルタイムで仕事をしている中、リーグワンで戦うことへの厳しさや戸惑いが出ることを予想したからだ。厳しい時代から這い上がってきた過程を知る自分が、チームの先頭に立って体現するからこそ意味がある。ちなみに今週の多田は、新潟出張から戻った夜に練習に参加し、翌朝には岡山出張に発ち、その間は個人で調整を続け、そのまま試合会場の広島でチームに合流する。それがL戸田を背負う自分の日常であり責任だと、多田は気にも留めていない。

多田が出張先でふと思いを巡らせるのは、昔も、いまも、チームが勝つことに尽きる。

「走るとか、戦うとか、自分たちのスタンダードに対して、一人ひとりがもう少し無理をしないと、チームとして力を体現し切れない部分が出てしまう。原点とは何かをもう一度握り締め、自分たちの中に落とし込んで戦う必要があると思っています」

L戸田が大事にしてきたものを全員で示す。多田は、そういう一戦にしなければとの思いを胸に広島へ向かう。

(鈴木康浩)


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