NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第8節
2026年3月14日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス vs 豊田自動織機シャトルズ愛知
清水建設江東ブルーシャークス(D2)
「次に大けがをしたら、もう僕は引退なんで。そのときに、誰かに負い目を感じさせたくないんですよ」
そう言って、立川直道は足に細かく張り巡らされたテーピングを外していた。前回の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)とのビジターゲーム後のことだ。筋肉や関節を一つひとつカバーするテープの量と、その細かさに驚いて声を掛けると、「自ら巻いている」ことを教えてくれたのだ。そして、その理由にもまたこの男らしさがにじみ出ていた。
「極端な話ね、例えば自分がトレーナーで、選手の足のテーピングを巻いたとするじゃないですか。それで、その選手がその足をけがしてしまったら、『自分のせいなのかな』ってめっちゃ気にすると思うんですよ」。だから立川は、自分で巻くことにした。「自分が引退するときに、そういう気持ちを誰にも感じさせたくないんです」。
2018年、立川は当時所属していたクボタスピアーズ(現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)でラグビーキャリア最大の大けがを負った。シーズン開幕直前の大切な時期でもあった。「めちゃくちゃ人のせいにしたんですよね」。OKを出したドクターの診断と、不安を感じていた自分の感覚。その食い違いを抱えたまま出場し、結果としてけがを負った。しかし、その後、「ダサいと思って」立川は考え方を変え、今度は自分に矢印を向けてラグビーを続けるための努力をした。いまでは、「もちろんドクターは信頼していますけど、結局自分の体は自分の体だし、自分で責任を取るというところを意識しています」。そこから復帰の過程で学んだケアやテーピングの方法が、37歳のいまも現役を続けるための軸になっている。
昨季はほとんどの試合に出場し、チームを支えてきた立川。だが今季はここまで4試合の出場にとどまっている。それでも、本人はいつもと同じ顔だ。「実際こうやって休んでも、昨季だったらチームに対してすごく不安な気持ちがあったんですよ。(田森)海音が出るとか、ヤス(山本泰之)が出るとか、チームを案ずるところはあったんです。でもいまは、全然僕が出なくても彼らがしっかり、なんなら僕以上に仕事してくれているんで頼もしいですね」。若手の台頭により、自分自身のコンディションとプレーに、より集中できるようになった。
次のS愛知戦では久しぶりにリザーブメンバーとしての起用が見込まれている。
「後半最後の20分のセットピースというのは、チームとして重視しているところだと思う。この前のNECグリーンロケッツ東葛戦もそうなんですけど、ラスト20分ぐらいでラインアウトが乱れたり、スクラムが押されたりしたんです。そういう細かい部分を消したくて、僕は後半に使われるんじゃないかと思っています」
コーチや監督から、試合前後でフィードバックを受けることが少なくなった。「何か一言くらい欲しい」と冗談めかしてボヤくベテランだが、その実、しっかりと起用の意図を理解している。若手が育ち、頼もしくなった今季だが、まだまだベテランの経験は欠かせない。
「次に大けがをしたら、もう僕は引退なんで」。そう覚悟しながらも、何度でもけがを治し、ラグビーとともに道を歩む姿が見える気がする。
(奥田明日美)



























