NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第10節
2026年4月4日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス vs 日野レッドドルフィンズ
清水建設江東ブルーシャークス(D2)
第9節・NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)とのビジターゲームで訪れた柏の葉公園総合競技場。そこは、約1年前にアーリーエントリーで初出場を飾った場所だった。当時は23対50で歯が立たなかったGR東葛に今回は24対19で勝利。それでも、試合後にピッチを見渡す藤岡竜也の顔は晴れなかった。
「チームが年々強くなっていくのはうれしいのですが、それにともなって試合に出られなくなってきた自分がもどかしいですね。悔しいです」
率直で、飾らない言葉だった。昨季、アーリーエントリーで加入した藤岡は、そのまま入替戦を含めた多くの試合に絡み、存在感を示してきた。「今季も、その流れのまま中心メンバーへ―」。そんな思いがあったはずだ。しかし現実は、思い描いていたほど甘くはなかった。
いまは二つの壁がある。まずはマリティノ・ネマニとテレンス・へプテマという同じポジション(センター)のライバルの存在だ。ともに経験豊富で、フィジカルにも優れた実力者。ポジションを争う相手として、これ以上ない存在である。
なかでも忘れられないのが、昨季のデビュー戦で当時GR東葛に所属していたマリティノと対峙した瞬間のこと。「ティノが目の前にいて、僕と(髙井)優志さんのフィジカルを見て『イケるな』と思ったかのように、味方に合図を出してパスをもらって、思いっきり突っ込まれて(トライを)取られたんですよ」いまでは笑って話せるが、そのときに刻まれた“差”はあまりに鮮烈だったのだろう。
脅威だった相手は頼もしいチームメートになったが、成長の手本がすぐそばにいる一方で、その二人を越えなければ出場機会は広がらない。
「二人を目指して努力すれば成長できると分かっていますが、なかなか越えられないので葛藤しています」
もう一つの壁は、仕事とラグビーの両立だ。平日はフルタイムで働き、限られた時間の中で練習、休息、戦術理解を積み重ねる。その厳しさは、ほかの社員選手たちと同じく藤岡も直面している現実である。それでも、そこに言い訳を持ち込みたくない。
「会社員もやっているという言い訳はしたくない」
短い言葉だが、そこにはプライドがある。思うように出場できない悔しさも、仕事との両立の難しさも、すべて受け止めた上で、それでも前へ進もうとしている。
その壁を越えるために必要なものは何か。そう問うと、意外な答えが返ってきた。「“勇気”です。スキル云々じゃなくて、『目の前に来た相手に対してやってやるぞ』という気持ち。最近は出せるようになってきたんですけど、メンバーとして上にいくにはそれしかないです」
日野レッドドルフィンズ戦は、まさにその“勇気”をぶつける舞台になる。1月の前回対戦では、フィジカル面を出し切ることができなかった。
「相手を飛ばしたり、強いタックルをしたり、そういった部分を前回より高いレベルでできればと思っています。成長したいです」
アーリーエントリー、ルーキーと駆け抜けてきた藤岡は、4月から社会人2年目を迎える。営業部に本格配属され、責任が増していく。その変化もまた、新たな挑戦になるはずだ。
高校生までは「辞めたかった」、勧められるままに「何の意思もなく、ただ続けてきただけ」と振り返るラグビー。それでも、続けてきたからいまへとつながり、その中でもがき、悩み、成長してきた。だからこそ、ここで立ち止まるわけにはいかない。
いま、初めて自分の意思で強くなろうとしている。越えたい、越えなければならない壁がある。そのすべてを、自分の力にするために。藤岡竜也は、いま“本当の勝負”の中にいるのだ。
(奥田明日美)



























