NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第9節
2026年3月28日(土)12:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ vs 日本製鉄釜石シーウェイブス
花園近鉄ライナーズ(D2)
全体練習が終わり、誰もいないグラウンドで約1時間にわたって黙々とキックの練習を繰り返すいつもの光景があった。
日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)戦で先発を飾る花園近鉄ライナーズのウィル・ハリソンのことだ。
「マニー(・リボック)とウィルはいつも最後まで練習していますね」と証言するのは、毎回練習に付き合う柴田崇志通訳である。
「やっと花園で先発するチャンスをもらえました」。かつてU20オーストラリア代表でもプレーした経歴をもつハリソンの「やっと」という言葉は偽らざる本音である。開幕から連勝街道をひた走るチーム状況とは対照的に、ハリソンは第4節まではメンバーにさえ入れなかった。
加入1年目の昨季はクウェイド・クーパー氏(現アタックコーチ)とポジションを争い、今季は新たにマニー・リボックがスタンドオフとして加わった。
「That's Rugby(それがラグビーというものですよ)。僕自身は人と競争するのが好きだし、2番手でいることが今までも多かったんです」
もっとも左足のキックに絶対の自信をもつハリソンが、2番手で甘んじるつもりなど毛頭ない。昨季もフルバックでのプレーは経験しているものの、スタンドオフの役割には決して固執していない。「どのポジションでもプレーできれば満足ですし、それをできるのが僕の強みです」と胸を張る。
太田春樹監督も「キックはもちろんですけど、ラインをしっかりと動かせます」とハリソンへの期待を寄せ、その真面目な人柄も絶賛している。2月27日に非公開で行われたトヨタヴェルブリッツとの練習試合。出場機会の少ないメンバーで挑んだ一戦だったが、太田監督がゲームキャプテンに指名したのがハリソンだった。
釜石SW戦ではリボックに背番号10を譲る形だが、「そういった選手ともしっかりと(ポジション争いの)勝負できると信念と自信もあります」と、秘めたプライドを口にしつつも、最優先にするのはチームファーストの姿勢である。
「ボールを動かせる二人目の選手としてマニーのサポートをする役割も僕にはあります」とハリソンは言葉に力を込めた。
釜石SW戦においてはリボックが太陽ならば、ハリソンはその光を受けて輝く月──。チームのためにあえて“月”になる。
(下薗昌記)



























