NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第14節(リーグ戦)カンファレンスA
2026年4月4日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 42-15 横浜キヤノンイーグルス
高みを目指す視線は一切ブレず。野口竜司が目指すのは「日本一のフルバック」という到達点
スクラムから、湯気が立ち上った。
この日の熊谷スポーツ文化公園ラグビー場は気温10度台前半。それでも7,063人の観客が詰めかけ、雨の中でも途切れることなく声援を送り続けた。
桜雨となった第14節。横浜キヤノンイーグルスと対戦した埼玉パナソニックワイルドナイツは6トライを奪い、今季13勝目を挙げると単独首位に返り咲いた。試合後、金沢篤ヘッドコーチは「タフなコンディションの中、多くの方に来ていただき、自分たちの力になりました」と感謝を口にした。
プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたのは、野口竜司。雨中の戦いで幾度も蹴り込まれたハイボールに対し高いワークレートで応え、1トライも記録。今季初の受賞にも、本人は満足しなかった。
「やらないといけない部分がたくさんありました」
試合後、最初に出た言葉は反省だった。
敵陣でプレーすることを意識した一戦。だが、自身のキック精度やイグジット(自陣深くからの脱出)の質には課題が残ったと振り返る。周囲の評価に左右されることなく、理想のプレーを追い求める姿勢は揺るがない。
「いいジャンプキャッチか、競り負けるか。それは跳んだ瞬間に分かるんです」
体の流れや踏み切りのタイミング、足の上げ方。わずかな違いを体で感じ取り、積み重ねてきた経験が、その感覚を支えている。
チーム内での役割にも変化が見える。ハイボールの技術については周囲に伝える立場になった一方で、ほかのスキルでは迷わず仲間に問い、学び続ける。「うまい選手がたくさんいるので、聞きながらやっています」。先輩後輩の垣根を越えて高め合う環境こそが、このチームの強さの一つだ。
バイウィーク明けにはリーグ戦最後の4連戦が控える。すでにプレーオフトーナメント進出を決めている中で、チームが求めるのはより高い完成度。その中核を担う野口にいまの夢を問えば、少し考えてからこう答えた。
「フルバックで一番を目指したい」
その意図を問われると、「一戦一戦、自分の中でレベルアップしていきたい。ハイボールのコンテストにも強くなりたいと思っています」と言葉を続けた。
現状に満足することなく、自身のプレーと向き合うことを止めないのは、その先に描く「日本一のフルバック」という到達点があるから。
評価を受けた試合の直後でさえ、その視線がブレることはなかった。
(原田友莉子)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツの金沢篤ヘッドコーチ(左)、坂手淳史キャプテン埼玉パナソニックワイルドナイツ
金沢篤ヘッドコーチ
「こんにちは。本日は7,000人を超える多くの方にご来場いただき、大変感謝しています。非常に強い雨の中でタフなコンディションではありましたが、これだけ多くの方に足を運んでいただいたことは、チームにとって大きな力になりました。
試合については、このような荒天の中では、いかにベーシックなプレーを徹底できるかが重要になります。選手たちには、自分たちのスタンダードをしっかり示していこうと伝えて臨みました。その結果、80分間をとおして全員がそれを体現してくれたと感じています」
──誰が出ても高い水準でチームの基準を示すために、どのような指導をされているのでしょうか。
「昨季と比べ、特別に大きく何かを変えているわけではありません。もともと選手たちは取り組む姿勢として高い基準を持っているチームだと感じていますし、私がチームに来た当初からその印象は変わっていません。その基準をさらに引き上げていくようなコーチングを心掛けています。
また、選手同士が競争の中で誰かを蹴落とすのではなく、互いに支え合い、高め合いながら成長していることも大きな要因だと思います。その積み重ねによって、多くの選手がリーグワンの試合に出ても問題ないレベルに到達しているのではないかと感じています」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン
「天候は厳しいコンディションでしたが、素晴らしい環境の中でラグビーをすることができました。
プレー面については、前半は難しい時間帯もありました。自分たちのミスが続いたことでプレッシャーを受ける場面もありましたが、金沢ヘッドコーチが話していたとおり、自分たちのスタンダードやディテールに立ち返り、相手にプレッシャーを掛けていくことができた点には成長を感じています。ミスが続く中でも焦らず、自分たちのプレーに戻ることができたことには満足しています。
後半はエリアマネジメントの部分で難しさもありましたが、チーム内で課題を共有し、ハドルでのコミュニケーションを通じて修正しようという動きがありました。そうした中で課題を見つけ、次に向けて改善していく姿勢がチームとして根付いてきていると感じています。
そうした一連の流れを通じて、チームとしての成長を実感できた試合だったと思います」
──成長とはハドルの質が上がったということでしょうか。
「ハドルの質そのものが上がったというよりも、試合の中で起きている問題をその場で把握し、すぐに修正できるようになってきた点が大きいと思います。ハーフタイムで修正するのでは遅いですし、試合後に改善するのではそのゲームには間に合いません。そうした修正をゲーム中に行えるようになってきたことが、成長だと感じています。
各リーダーが課題を的確に分析し、修正点を整理して発信してくれていました。シンプルな修正が中心ではありましたが、試合の流れを読みながら、何が起きるかを予測し、その都度コミュニケーションを取ることができていました。
そうしたリーダーの発信に対して、チーム全体がしっかり反応できている点も含めて、非常に良くなっている部分だと感じています」
横浜キヤノンイーグルス
横浜キヤノンイーグルスのレオン・マクドナルド ヘッドコーチ(左)、ジェシー・クリエル キャプテン横浜キヤノンイーグルス
レオン・マクドナルド ヘッドコーチ
「パワフルな相手との厳しい試合になることは理解しており、ベストパフォーマンスを発揮しなければならないという覚悟で臨みました。
しかし、前半終了間際と後半立ち上がりに相手へチャンスを与えてしまい、結果としてその時間帯が勝敗を分けたと感じています。ディフェンスでのペナルティやノックフォワードが重なり、クオリティーの高い相手に対してそうしたミスは許されない中で、痛い失点につながりました。
今季はこのように流れを崩し、連続してトライを許してしまう試合が続いており、引き続き修正が必要な課題だと捉えています。一方で、後半終盤には自分たちのアタッキングラグビーを表現することができ、チームとしてのベストな姿を見せられた部分もありました。
また、本日の試合を通じて、埼玉パナソニックワイルドナイツのフィジカルの強さと完成度の高さをあらためて感じました。特にフォワードを中心としたパワフルなプレーは、コンディションの難しい中でも質を落とさず、非常に攻略の難しいチームであると感じています」
横浜キヤノンイーグルス
ジェシー・クリエル キャプテン
「非常に厳しい試合となりました。雨の影響もあり、両チームともハンドリングエラーが見られる中で、自分たちはチャンスを得点につなげ切ることができなかった点が課題だと感じています。
今後も試合が続いていく中で、この反省を生かしながら次に向けて準備していきたいと思いますし、これからの戦いを前向きに楽しみにしています」



























