2026.04.23[S東京ベイ]徹底した体の管理と積み重ねた経験で、スクラムの“怪獣”と化す

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第16節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年4月25日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 三重ホンダヒート

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイの左プロップ、紙森陽太選手

それまで“当たり負け”といったものとは無縁だった紙森陽太にとって、そこは怪獣たちが棲む場所のようだった。ミーティングルームで見上げた身長205cmのルアン・ボタ。グラウンドに出れば、前に進めない現実。大学までの常識が、いとも簡単に覆される世界が、そこにはあった。

紙森がクボタスピアーズ船橋・東京ベイに入団したのは2022年。世代最強プロップと呼ばれた男が痛感したのは、フィジカル強化の必然性だった。しかし、同年5月にアキレス腱を負傷。長期離脱を余儀なくされたものの、その時間が体と向き合う契機となった。

「パワー重視だった考え方が変わりました。パワーだけでなく、どういう体の使い方をすれば、体を守りながら力を発揮できるのか。そこをトレーナーさんと相談しながら、体作りに取り組んできました」

けがが癒えた入団2年目から本格的なバルクアップを開始。大学卒業時は104kgだった体重は、いまでは平均値で108kg、試合当日は109kgを維持している。体重を保つために、1食の白米の量も350gと決めている。その日の食欲などに左右されないよう、スケールで重さは計っているという。これだけの体重をキープしながらも、うっすらと浮かび上がる腹筋が、その筋肉量を物語っている。

「スクラムでもしっかりパワーを出せるようになりましたし、コンタクトでも押し返される感覚はなくなってきました。さらに体重を増やしたい気持ちはありますが、そこは慎重に進めています」

さらには、80分フル出場という過酷な負荷が、心身をさらに強靭なものへと押し上げていった。昨年の日本代表初キャップとなったウェールズ代表戦。先発出場を果たした紙森は、ノーサイドの瞬間までピッチで戦い続けた。

「初キャップということもあって、自分自身すごく緊張していましたし、あの環境で80分出たというのは大きかったです。あれ以上のプレッシャーが今後また来るかどうかはわからないですけど、『あのときに頑張れたんだから、いまも頑張れるだろう』という気持ちには常になっています」

積み重ねてきた経験と取り組みが、一つに結びつき始めている。昨季は開幕戦からプレーオフトーナメント決勝まで全試合に出場。今季も第3節以降、すべての試合でピッチに立ち続けている。「スクラムを中心としたセットピースでの評価と、ボールに関わる回数の増加が、起用につながっているのではないか」と本人は語る。

「特にスクラムはフロントローにとって一番の仕事。そこで勝つことが最上級の役割です。僕たちが組めば安心してもらえる、ノックフォワードをしても『あいつらがいるから大丈夫』と思ってもらえるスクラムを組みたいと思っています」

体の使い方をふまえた体作りに取り組んできた結果「スクラムでもしっかりパワーを出せるようになりましたし、コンタクトでも押し返される感覚はなくなってきました」(紙森選手、写真中央)

4月25日、スピアーズは聖地“えどりく”で三重ホンダヒート(以下、三重H)を迎え撃つ。戦いを前にして、「最近の三重Hさんはフォワードに力を入れている印象があるので、そこに対してスピアーズのフォワードで圧倒していきたい」と、その言葉はあくまで力強い。

怪獣たちが棲む場所で、紙森もまた、スクラムの怪獣へと進化しつつある。

(藤本かずまさ)

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