NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第17節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年5月3日(日)13:00 ハワイアンズスタジアムいわき (福島県)
リコーブラックラムズ東京 vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1)
悔しさの先で、廣瀬雄也は“声”を手に入れた。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)入団2年目の昨季は、チームに食らいつくことで精一杯だった。連戦によるフィジカルの消耗、メンバーに残り続けなければならないというプレッシャー。しかし、その意識はチーム全体よりも、自分自身に向けられていた。
「昨季は良くも悪くも、がむしゃらにやっていたという感覚でした。どちらかというと、チームより個人のことを考えて、必死になっていました」
だが、そうしたひたむきさは現実の前では無力だった。プレーオフトーナメント準決勝、決勝のメンバーに彼の名はなく、そこでは積み上げてきたものが届かなかったという感覚とともに、悔しさだけが残った。
日本代表での経験を経て戻ってきた、今季の開幕前。何かを残さなければならないという焦りが、むしろチームへのフィットを遠ざけた。本来なら、開幕戦には12番を背負って立ちたかった。しかし、コンディションの問題もあり、そこに廣瀬の姿はなかった。
その間も、チームは前に進んでいく。昨季はウイングとして活躍したハラトア・ヴァイレラがセンターに入り、攻撃のリズムを生み出していた。廣瀬は焦燥を深めた。
「そこでストーミー(スコット・マクラウド アシスタントコーチ)やメンタルコーチに相談しました。すると、自分がフォーカスすべきポイントがはっきり見えてきたんです。そこから、ようやくチームに馴染めた感覚があります」
不明瞭だった目の前の道が、一気に輪郭を帯びた。チームへと向いた意識が、廣瀬の立ち位置を変えた。
「スピアーズが相手に対してどういうラグビーをしていくか。いまはそれをしっかりインストールして、実行しているだけです。自分どうこうよりも、チームが優勝できるようにというのを第一に考えています」
さらには、チームには“世界”を知るリーダーたちがいる。彼らが発する言葉の前に、若い廣瀬は一歩引いていた。「俺が口を出していいのか」。その迷いが、無意識の壁になっていた。
だが、「ここでビビっていたら、一生言えないと思った」と廣瀬は振り返る。もし間違っても、後で修正すればいい。そう、言葉にすることで、自身の判断や行動にも、責任と自信をもてるようになるのだから。
「ストーミーにも、ディフェンスは自分が声を出して引っ張っていかないといけないと言われました。センターはディフェンスの要なので、自分が先頭に立たないと周りもついてこない、と。そういう意識をもつようになって、少しずつ変わってきていると思います」
“声”を持ったことで、プレーは変わった。フラン・ルディケ ヘッドコーチの信頼も厚く、先発として任される試合が続く。迷いは、すでに消えている。5月3日、ハワイアンズスタジアムいわきでのリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)戦でも12番を背負う。
「BR東京は強いマインドで来ると思うので、厳しい試合になると思います。その中でも、自分は状況に左右されずに、自分の役割を全うすることに集中したいです。準備してきたことを、自信をもって出したいと思います」
廣瀬は、これまで全国優勝という頂に立ったことがない。「高校でも大学でも悔しい思いをしてきた」。だからこそ、S東京ベイで優勝するという思いは強い。そして、その舞台に、12番として立つ──。
(藤本かずまさ)



























