横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)

ギリギリの敗戦から得た自信と悔しさ。ダービーマッチで最高の勝利を

現在5位の横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)は、今節からホストゲーム2連戦を戦う。第1ラウンドはホストエリア横浜でのホストゲーム。2月4日(土)14時30分、ニッパツ三ツ沢球技場でキックオフの号砲が鳴る。

土壇場で手元から勝利がこぼれ落ちた……。前節の横浜Eはチャンピオンチームである埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)を相手に終了間際までリードしていたものの、後半40分に同点トライを奪われる。その後のコンバージョンゴールも決められてしまったため、失意の逆転負けとなった。ショッキングな敗戦だったことで、試合後のロッカールーム内には悔しさが充満していたが、すぐに選手たちは顔を上げた。

「この悔しい気持ちを大事にしていこう」と沢木敬介監督が言えば、キャプテンの梶村祐介は「今日のゲームをスタンダードにしていこう」と呼びかけた。結局、王者相手に敗れたとはいえ、後半34分に一度は逆転。「今までの横浜Eであればこれだけのゲームはできなかった」と嶋田直人も前を向く。今節は前節、王者にギリギリで敗れた悔しさとつかんだ自信をぶつける重要な一戦だ。

今節の相手は「ジャパンラグビー トップリーグのころからのライバル」(嶋田)であるリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。親会社が同業種であるため、トップリーグの折から“ダービーマッチ”として、しのぎを削ってきた。BR東京の印象について、嶋田は「いつも以上によりタフに、フィジカルを生かして戦ってくる」と話した。両雄のプライドを懸けた一戦は、熱戦必至だ。

そして横浜Eにはもう一つ、どうしても勝ちたい理由がある。前節の埼玉WK戦では2試合連続3トライを奪うなど、それまで好調だったアマナキ・レレイ・マフィが試合中のけがにより、戦線離脱を余儀なくされた。「いつもチームにエナジーを与えてくれた選手」(嶋田)が離脱したことはチームにとっては痛手だ。それでも、先発予定の嶋田は「試合に出られずに悔しい思いをしている選手のぶんも戦う」と語気を強めた。

“ナキ(アナマキ・レレイ・マフィの愛称)のために朗報を”。横浜Eフィフティーンは戦列を離れた仲間に、最高の勝利を届ける覚悟だ。

(郡司聡)

横浜キヤノンイーグルスの嶋田直人選手。今節の相手は「ジャパンラグビー トップリーグのころからのライバル」

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスA)

世界的名手にも「容赦しない」。絶対に負けられない“事務機ダービー”

交流戦初戦を2点差の黒星で終えたリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。次こそは勝ち切りたい第7節は、敵地で横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)と相対する。

「相手は昔から“事務機ダービー”を繰り広げている横浜E。しかも、目の前には南アフリカ代表のファフ・デクラーク。絶対に負けられないです」。

そう話すのは、大卒2年目の南昂伸。リザーブから出場をうかがう、スクラムハーフである。

高校までウイングとしてプレーした俊足を武器に、自らのランで仕掛けるプレーを得意とする南は「暴れ馬のように、テンポを上げるフィニッシャーとして登場したい」と意気込んだ。

一方、先発のスクラムハーフを任されたのは、身長182cmの髙橋敏也。横浜ラグビースクール出身で「ニッパツ三ツ沢球技場は、小学生のころから試合をしていた会場。うれしいです」と地元での凱旋試合に喜びを隠さない。

髙橋がラグビーを始めたのは小学1年生のころ。中学1年時にセンターからコンバートされると、左利きのスクラムハーフとして、すべてのプレーを高レベルに磨いてきた。チーム一のフィットネスは、負けず嫌いな性格ゆえ。「BR東京が大事にしているDNAの中に、『容赦しない』という言葉があります。相手に抑え込まれるのではなく、常に自分たちがコントロールする立場に居続ける。DNAの部分で、気持ちも体も容赦しない」。そういうプレーを見せたい、と熱い眼差しを向けた。

二人が担うスクラムハーフは、15あるポジションの中でも随一の専門職。全体練習後にはハーフ陣だけで球出しの練習をする姿も多い。だからこそ、切磋琢磨し合う仲間として、互いの良きところをも理解する。

「南は一人でチャンスを作れる選手。羨ましい強みを持っている」と髙橋が話せば、南も「タックルが上手くて安定感がある。スイッチオンになった時のトシさん(髙橋)を見てほしい」と称えた。

二人のスクラムハーフが目指す、それぞれの頂とは──。

「9番として試合に出続けること。チーム内での競争に勝ち、試合では相手の9番に勝ちたい」(髙橋)

「BR東京のスクラムハーフと言ったら南、と言われるようなプレーヤーになりたい」(南)

横浜キヤノンイーグルスとの一戦は、スクラムハーフから目が離せない80分間になるだろう。

(原田友莉子)

チーム一のフィットネスでダービーマッチに臨むリコーブラックラムズ東京の髙橋敏也選手
高校まではウイングだったというリコーブラックラムズ東京の南昂伸選手

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