NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第5節 カンファレンスB
2024年1月13日(土)14:10 ニッパツ三ツ沢球技場 (神奈川県)
横浜キヤノンイーグルス vs リコーブラックラムズ東京
横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)
主力不在の逆境を総力戦ではね返す。
急先鋒を担う安昌豪は80分間の「全力」を誓う
ニッパツ三ツ沢球技場でのホストゲームに臨む横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)は現在3連勝中。4連勝を目指すチームに立ちはだかる相手が前節、今季初勝利を挙げたリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)だ。試合日程は1月13日(土)。14時10分に白熱バトルの幕が開く。
三菱重工相模原ダイナボアーズとの前節の激闘は代償が大きかったかもしれない。後半13分に途中交代したスクラムハーフのファフ・デクラークはBR東京戦のメンバーから外れ、キャプテンの梶村祐介もメンバー入りを見送った。またフロントローのポジションも先発を大幅に入れ替えたため、プロップで先発予定の安昌豪は「チームとしてのプライドが試される試合。ファーストプレーから全力で相手に向かっていく」と言葉に気持ちを込めた。
3連勝中とはいえ、チームとしての改善点も多く、「このままでは目標とするチャンピオンはおろか、昨季の3位すらも届かないかもしれない」(安昌豪)と選手たちは危機感をにじませる。さらにBR東京戦は一部の主力選手が欠場を余儀なくされるが、チーム内にはその逆境をはね返そうとするマインドに満ちあふれている。安昌豪がチームの総意をこう代弁した。
「横浜Eというチームは決まった選手が試合に出るわけではなく、ノンメンバーである“ライザーズ”を含めて、チームのスタンダードを高めることはここ数年チームとして取り組んできたこと。確かにスタートのメンバーは代わりますが、チームが一体となって戦えるか。それを証明する良い機会だと思います」
ましてや安昌豪にとって、今節の試合会場である“三ツ沢”は「めっちゃ好き」な舞台。ロッカーアウトからピッチに駆け出すまでの動線が「気持ちを作りやすい」環境は、安昌豪の士気をきっと高めるに違いない。BR東京では武井日向ら、明治大学在籍時のチームメートが欠場するため、残念ながら“同期対決”は実現しない。それでも今季初先発に燃える安昌豪は、「80分出るつもりだし、すべてのスクラム、コンタクトエリアで勝つことで良い結果がついてくる」と強気に話した。
(郡司聡)
リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)
その一瞬、その一つ、そのすべてを大事に。
中楠一期はプレーで名を表す
第4節・花園近鉄ライナーズ戦に続き、第5節・横浜キヤノンイーグルス戦でもリコーブラックラムズ東京のスタンドオフで先発を務めるのは、慶應義塾大学を卒業して1年目の中楠一期だ。リーグワンデビュー戦となった前節を振り返り、「やるべきことはやったけど、気の利いたことはできなかった」と自己採点は辛口だ。
具体的には、ラインブレイクをする、ラインブレイクをさせるといった「プラスアルファのプレーができなかった」と唇をかんだ。
しかし、デビュー戦のトイメンに立った元オーストラリア代表のクウェイド・クーパーからは「良かったよ」と言ってもらえた。小学生のころ、iPod Touchの待ち受けにもしていた「ラグビーをやっていたら一度は憧れる選手」からの評価に「感慨深いです。後世に語り継ごうかな」と笑った。
母の勧めでラグビーを始めたのは年少のころ。父は高校日本代表候補の合宿にも参加したことがあるスクラムハーフだった。
気が付けばラグビー選手に憧れるようになり、『ラグビーを職業にする』と決めたのは大学2年の終わり。関東大学ラグビー対抗戦で明治大学や帝京大学を倒すと「『ラグビー選手になって活躍する』という絵が見えたんです。『ここで終わるのは寂しい』、と」。ラグビーに100%コミットした環境でやってみたい。その思いが増した。
「ラグビー選手である以上、日本代表でプレーしたいという気持ちはもちろんあります。でも、代表はある意味、縁。自分で決められないことよりも、いまの自分が良いプレーをして、少しでも成長することだけを考えています」
ラグビーを嫌いになったことも、辞めようと思ったことも一度もない。
「ずっとラグビーが好き。ラグビーをするのも、観るのも、仲間と一つの目的に向かうことも。全部が好きです」
『一期』の名は、父が命名した。
「人との出会いだけでなく、一つのチャンスは1回限り。だからすべての出来事を大事にしようと心に決めています」
大学時代の仲間の中には、ラグビーを続けずに後悔している人もいる。ラグビーをやると決めた自分にしかできないことをやる。
「パクシーおじいちゃん(ハドレー・パークス)のように、ラグビー選手として、なるべく長くやりたいですね」
(原田友莉子)