東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)
熱戦必至の“府中ダービー”。吠えるのか、黙らせるのか──
東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は2月5日14時から、秩父宮ラグビー場で東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)と対戦する。ともに東京都府中市がホストエリアである“府中ダービー”で、激しい戦いを繰り広げてきたライバル対決となる。
2試合連続で60得点以上を奪い、調子を上げてきたBL東京では、三上正貴が先発する。34歳のスクラム職人であり、頼りになるベテランだ。
「技術的な面もありますが、府中ダービーということで向こうも特別な思いを持ってくれていると思います。こちらも特別な思いを持っているので、この試合に関しては気持ちの部分が大事になってくると思います」。
“アグレッシブ・アタッキング・ラグビー”を掲げる東京SGは、第6節を終えた時点で総得点がリーグ1位と圧倒的な攻撃力を誇る。三上は相手フォワード陣の充実ぶりを感じている。
「今季のここまでの試合を見てもスクラム、モールにこだわりを感じます。過去の対戦を振り返っても、彼らはセットピースでプレッシャーを掛けてくるので、こちらの対応が大事になります」。
2015年のラグビーワールドカップで“ブライトンの奇跡”と言われた南アフリカ代表戦にも先発出場した三上。日本代表で35キャップを積み上げ、ここまで素晴らしいキャリアを築き上げてきた。それでも、声高に自身を語ることはなく、黙々と課題に立ち向かっている。
「いまのラグビーはすごく走りますし、走りの質の高さも求められます。スキルも必要ですし、覚えることも多くなりました。僕自身はフィットネスとセットピースが持ち味だと思っているので、自分でも走ってコンディションを整えています」。
東京SG戦では、日本代表でともに戦った垣永真之介と組み合うことになる。三上は「垣永選手がスクラムに勝って吠えるとチームに勢いが出てしまうので、逆にプレッシャーをかけるのが僕の仕事です」と語り、ニヤリと笑った。
「垣永選手が吠えるのか、黙っているのか。ファンの方にはそこを見てほしいです」
吠えるのか、黙らせるのか──。三上と垣永のスクラム対決が、府中ダービーのカギを握りそうだ。
(安実剛士)
東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)
キーワードはフィジカルバトル。“ゴールデンショルダー”がリーチ マイケル封じに挑む
2月5日、秩父宮ラグビー場でキックオフとなる3位の東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)対4位の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)の一戦。プレーオフ進出をかけたトップ4の座を争うだけでなく、ともに東京都府中市を拠点にジャパンラグビー トップリーグ時代から覇権を争ってきたライバル同士。その両チームが戦う「府中ダービー」は、どちらが府中の顔なのか、まさにプライドを懸けた戦いだ。
だが、東京SGの選手、監督に話を聞けば、プライド以上にぶつかり合うものがあると口をそろえる。キーワードは『フィジカルバトル』。前節、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた中村亮土は次のように分析する。
「『フィジカルバトルになる』というのがBL東京戦でのキーワード。今季のBL東京さんは従来の“フィジカル”を軸に、バックスにもいいプレーヤーがたくさんいてバランスのとれたチームです。接点の部分で負けないように戦っていきたいです」
田中澄憲監督からまず出てきたのも「フィジカル」の言葉だった。
「BL東京さんはフィジカルの強いチーム。前に出てくる力は強いですし、そこからオフロードパスもどんどん決まると非常に厄介。対して、東京SGは『アタックのチーム』なので速いテンポでラグビーをしたい。だからこそ、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)が大事になります」
そこで重要になるのがバックロー(6、7、8番)の面々。BL東京のバックローには日本代表のリーチ マイケルが君臨するだけに、ここで主導権を握れるかどうか。「自分のディフェンスで、いいフィジカルバトルをしたい」と決意を語るのは、バックローで好調を維持する山本凱だ。昨季、選手が選ぶベストタックラー「ゴールデンショルダー」に輝いた男は、自らの武器で勝負を懸ける。
「タックルが一番得意なので、いいタックルから流れをつかんで試合に入っていきたいです。とくにリーチさんは、自分がバックローをやり始めた高校時代から代表で活躍していて、ずっと注目してきました。自分が学生時代、東芝の練習に参加したときもいろいろ教えてくださったのがリーチさん。試合でぶつかることができるのはとても楽しみです」。
秩父宮ラグビー場に、激しくフィジカルがぶつかり合う音が響き合う……そんな府中ダービーになりそうだ。
(オグマナオト)