三菱重工相模原ダイナボアーズ（D1 カンファレンスA）
相模原DBに待ち人来たる。
もう一人の10番が加速させる“いい流れ”
主力メンバーが復帰した三菱重工相模原ダイナボアーズ（以下、相模原DB）は、今季無敗のホストスタジアムにコベルコ神戸スティーラーズ（以下、神戸S）を迎える。
前節は後半にディフェンスシステムが崩れて大敗。今節は守備の立て直しを図り、連敗を止めることがミッションになるだろう。神戸Sとは二度の対戦で、いずれも50点差以上つけられて負けている。簡単な仕事ではないが、これまでの戦いぶりを見ていると不可能ではないと感じる。
朗報は二つある。一つ目は韓尊文が開幕節での負傷以来、戻ってきたこと。昨季まで所属していたチームについて「どこからでもアタックしてくるチーム。キックバトルでは山中（亮平）さんがいて手強い。自分たちはディフェンスを粘り、相手がミスしたところで点を取り切ることができれば勝機が見える」と力を込める。
二つ目は、今季鳴り物入りで加入したオーストラリア代表59capのマット・トゥームアが初めて出場する可能性があることだ。チームの司令塔として期待されるマット・トゥームアはシーズン開幕からけがの影響でメンバー外だった。「もっと早くデビューしたかった。個人的にもプレーすることが楽しみだし、チームは悪くない結果を残しているので、それを続けることが大切」と初出場に意欲を燃やす。
一方で「自分たちのスタンダードではない試合もあった。先週の試合を振り返って対応しないといけないし、チームにはまだまだ伸ばせるところがある」とチーム状況を見つめる。「走るのも好き」で得点能力も高い選手だが、まずは10番としてチームをコントロールする役割を全うする。
神戸S戦について、マット・トゥームアは「伝統をもち、アタック、ディフェンスともにいいチーム。相手のペースに巻き込まれないように、粘り強いプレーを続けることが大事。出場機会があれば、自分たちの得意なプレーができるようにコントロールしたい」と意気込んだ。
相模原DBはジェームズ・シルコックの活躍で、ディビジョン1昇格年の序盤からいい流れをつかんできた。もう一人の強力な「10番」が加わることで、どんな戦い方が見られるのか楽しみだ。
(宮本隆介)
開幕節以来の出場となる相模原DBのウイング、韓尊文選手
相模原DBでの初出場が期待されるマット ・トゥームア選手コベルコ神戸スティーラーズ（D1 カンファレンスB）
「応援の期待に応えたい」。
苦労だらけの社員選手が連敗脱出に全力を注ぐ
コベルコ神戸スティーラーズ（以下、神戸S）の今節は、躍進目覚ましい三菱重工相模原ダイナボアーズ（以下、相模原DB）とのビジターゲーム。難しい試合になることは必至だが、3連敗という苦境から抜け出すために一歩も引けない80分となる。
「そこまで昂りはない。当たり前のことを当たり前にやるだけです」
そう今節への意気込みを語ったのはスクラムハーフの徳田健太。3日に発表された先発メンバーに名前を連ねた29歳は、出場すれば今季初となる。淡々とした口調の中に、にじませたのは湧き上がる闘志だ。
「個人的にはここ2年くらいけがが続いて、なかなかチームに貢献できていなかった。ようやく貢献できるチャンスが来たので、しっかりと自分が持っているものを出したいと思います」
16年に神戸Sに加入した徳田が出場した直近の公式戦は、ジャパンラグビー トップリーグ2021プレーオフトーナメント 準々決勝・クボタスピアーズ戦までさかのぼる。昨季は左ひざを痛め、今季も開幕前に右ひじを負傷するなどけがに苦しめられてきた。悩ましい日々を乗り越え、ようやくつかんだ出番。「いまはもう何も心配はない。100％でいけるので大丈夫です」と万全の状態でフィールドに立つ。
チームは現在、3連敗中。「緩めないようなプレーや声かけで引っ張っていきたい」とイメージを育み、味方のために“走る”ことへの意識を強める背番号9。チーム在籍年数も長くなってきた中で、「勝っていた時代のメンタルを僕は知っています。そういうところは伝えていけたらいい」と、勝者のメンタリティーの伝導役も買って出る。そして、社員選手である自身の立ち位置を実直に見つめ、胸に宿す思いを口にした。
「社員としてお世話になったぶんを返していきたい気持ちもあります。いつも応援してくださるし、その期待に応えたい。それは社員選手ができる会社との関わり方だと思いますし、そこは大事にしていきたいですね」
スタンドオフの李承信とともにチームの指令役となるハーフ団を担い、「僕ら9番、10番は一番、プレーの精度が大事になってくると思う。そこにこだわってやっていきたい」と意気込んだ徳田。献身性とクオリティーの両輪を転がし、連敗脱出に力を注ぐ。
(小野慶太)
今季初出場となるコベルコ神戸スティーラーズのスクラムハーフ、徳田健太選手
