東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)
新年度最初の金曜日。「フレッシャーズナイト!」で見せる“先輩の矜持”
4月7日、新年度最初の金曜日。新社会人にとっては長い1週間を終え、初めての週末へ開放感も大きいはず。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1で現在3位につける東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)は、秩父宮ラグビー場にコベルコ神戸スティーラーズを迎えてのホストゲームを「フレッシャーズナイト!」と銘打ち、「新入社員特別優待」を実施するなど、新社会人へのエールを送る。
折しもリーグワンではこの数カ月、大学卒業前から試合に出場できる「アーリーエントリー」組の存在が賑わいを見せてきた。そして、彼ら“フレッシャーズ”の活躍を受け、2年目3年目の選手たちも負けじと牙を研ぐ切磋琢磨が生まれている。
一方で、そんな「フレッシャーズナイト!」で奮闘しようとするベテラン選手もいる。現在31歳の垣永真之介もその一人だ。
日本代表候補にも名を連ねる垣永だが、その主戦場であるプロップで、今季の東京SGは4月に2年目を迎えた小林賢太が目覚ましく台頭。同じく2年目、帝京大学時代に日本一をけん引した細木康太郎も前節、長かったけがからの回復を乗り越えて待望の初出場。そんなフレッシュな若手の台頭を、垣永は大いに歓迎する。
「東京SGの競争の激しさはリーグワンでも一番。競争なきところに成長はないので、若い選手が出てくることは良いことだと思います。むしろ、彼らにはもっと自分に自信を持ってプレーしてほしい。もっともっとできるはずですから」
普段からムードメーカーとしてチームを盛り立てる男らしく、若手にもっと力を発揮してほしい、と先輩としての余裕も覗かせ、エールを送る。そこにはこんな矜持もあった。
「みんなで盛り上がったほうが楽しいじゃないですか。それに、ただプレーするだけであれば、普通のラグビーと変わらない。リーグワンはある意味、エンターテインメント。お客さんにプレーを楽しんでもらって、初めて僕らはラグビーができる。プレーはもちろんのこと、違う部分でも、少しでも会場に来てもらうきっかけになればなと思います」
人に喜んでもらえるプレーとは何か?それは、新人ではなかなか醸し出せないこと。チームの若手に、リーグワンの若手に、そして世のフレッシャーズにこそ見てほしいプレーが、秩父宮にはきっとある。
(オグマナオト)
コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスB)
眼窩底骨折からの復帰戦。李承信、師との対戦を前に「思いっ切りチャレンジしたい」
秩父宮ラグビー場に乗り込む今節のコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。前節は2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイに敗れ、今節も3位の強敵、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)との対戦だが、橋本皓キャプテンは「自信をもってプレーしたい」と意気込む。チーム一丸で勝利を目指し、東大阪市花園ラグビー場が舞台となる今季のリーグ戦ラスト2試合につなげたい。
神戸Sの背番号10が戦列に復帰する。22歳の若き司令塔、李承信だ。
「チームに迷惑を掛けたぶん、自分のパフォーマンスで還元できたらいいなと思います。けがをして外から(チームの戦いを)見て、プレーしているときには見えなかったスペースが見えたり、学べる時間にもなりました。そういうところを試合でも生かしたいと思います」
NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1第9節・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦で途中交代し、右眼窩底骨折のため手術を行った李承信。負傷をした当初こそ不安を感じたようだが、医師らのサポートでそれを解消。感謝を胸に込めながら試合出場への準備を進め、いよいよ出番のときを迎えた。
「チームメートのファイティングスピリットや、がむしゃらに、ひたむきに戦っている姿に心を動かされる部分もありました。10番としてチームを引っ張りたいと思います」
アタックに秀でる東京SGに対し、「どれだけ敵陣で戦えるか」とマッチアップを見据える李承信。相手の10番である昨季神戸Sに在籍したアーロン・クルーデンへの思いも口にした。
「自分がここまで成長できたのもクラッズ(アーロン・クルーデン)のおかげと言ってもいいくらいです。もっと成長した姿を見せたいです。クラッズが東京SGに(加入が)決まったときから『試合がしたい』と思っていたので、思いっ切りチャレンジしたいですね」
チームの勝利へ、その両肩に乗るのは多大な重圧。だが、9月にラグビーワールドカップフランス大会を控える中、ジャパンの10番候補としても期待が懸かる男は実直に自らと向き合う。
「そのプレッシャーに勝たないとこの先、自分が達成したい未来もないと思います。成長に限界を決めずに、ハングリーにやっていきたいと思います」
李承信の激動のシーズンが再始動する今節、そのパフォーマンスは必見だ。
(小野慶太)