2025.03.24NTTリーグワン2024-25 D1 第12節レポート(東京SG 37-39 神戸S)

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第12節(交流戦)
2025年3月23日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 37-39 コベルコ神戸スティーラーズ

痛恨の1敗の中に見えた光明。“サンゴリアスらしさ”を信じて、勝つための準備を進めていく

リーダーの一人として”姿勢”を示す東京サントリーサンゴリアスの流大選手。「戦術以上に、サンゴリアスらしさを出さなければいけない」

東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)にとって、非常に痛く重い1敗となったのは3月23日、秩父宮ラグビー場で行われたディビジョン1第12節、コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)との一戦。試合時間80分経過まで残り1分ほど、3点リードして迎えたマイボールでのラインアウト。ボールを保持し、80分経過のホーンとともにプレーを切れば連敗脱出となるはずが、このラインアウトをスティールされ、一転、神戸Sボールに。そこから一気にトライを決められ、まさかの逆転負けを喫してしまった。

これで悪夢の3連敗。試合前7位だった順位は8位に転落し、プレーオフトーナメント出場圏の6位以内がさらに遠のいた。それだけに試合後の記者会見や囲み取材の空気は非常に重たいものだった。

「今季、ゲームを左右するシーンで相手チームが上回っている。一つひとつのラインアウトの精度、パスの精度、タックルの精度。そういったミスが響いていると思います」

試合後、重い口を開いて敗因を語ったのはチームリーダーの一人、流大だ。自身のSNSでは「本当にメンタル的にもきつくてしんどかった。でも家族や友達、ファンの皆に下を向いてたり諦めた姿だけは見せたくない」(※原文まま)と綴ったように、辛い状況でありながらも、しっかり前を向いて言葉を発した。

レギュラーシーズンは残り6試合で、その内、東京SGよりも上位チームとの対戦は3つ。苦しい状況は続くが、「僕らにとって上位も下位もない」と流は話を続けた。

「いま、プレーオフトーナメントや優勝のことを考える状況ではなく、まずは次の試合のことを考えるだけ。戦術以上に、サンゴリアスらしさを出さなければいけない」

その“サンゴリアスらしさ”が光明だ。敗れはしたものの、神戸S戦では今季なかなか出せていない、サンゴリアスらしい『アタッキングラグビー」を展開できた場面が明らかに増えていた。

「前節での学びを受け、僕らの強みであるアタックをしっかり出していこうというプランの下、アタックに関しては手ごたえのある内容でした。もう一度切り替えて、自分個人としてもパフォーマンスを上げる準備と、チームの雰囲気を勝つ方向に変えていかないといけない。コーチ陣やほかの選手とも今回の試合を正直にレビューして、勝つ準備をする。それに尽きると思います」

(オグマナオト)

東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアスの小野晃征ヘッドコーチ(右)、堀越康介キャプテン

東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ

「80分間を振り返って、自分たちらしいアタックはできたと思います。ただ、結果がすべてだと思うので、勝ち切れなかったところが課題だと思います。選手のエフォート(努力)は素晴らしかったので、次に向けてまた切り替えていきたいと思います」

──試合内容や実力的には5位のチームと同じものが出せていたと思います。ヘッドコーチとして、順位を上げていくために、チームとして何を向上させていきたいですか。

「まずは自分たちのラグビーを信じること。その中で、ボールキャリーにしても、ラインアウトにしても、ブレイクダウンにしても、一つのプレーがどれだけ試合に影響するのかということを一人ひとりが緊張感をもって練習に取り組まないと、いざゲームでそのシーンが目の前で起きたときに何もできないと思います。緊張感をもちながら、試合をイメージして練習しないといけないと思っています」

東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン

「今季をとおしてですけど、勝負どころでの弱さが80分間をとおしてところどころで出た試合だと思います。勝つチャンスは最後の最後までありましたが、(その勝負どころでのミスの結果)相手のほうに軍配が上がったという試合でした」

── 一つひとつのプレーの精度が東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)の基準としてはまだ足りないようにも見えます。その点をどう考えますか。

「誰かのせい、というわけではないですが、ゲームをとおして、『ここが大事』ということが本当に分かっている選手と、イメージし切れていない選手が少しいる気がしています。そこはもちろん僕自身の責任でもありますし、1週間をとおして全員で、そういう場面になったときの準備ができていなかったと思います。自分の責任をすごく感じています」

──30点を取ったあと、ペナルティが目立ったように思えます。グラウンドレベルではどのようなことが起きていましたか。

「僕はたぶん交替していたと思いますが、どちらにモメンタムが傾くか。お互いにミスもあった時間帯でしたが、その中でも(髙本幹也が)50-22(フィフティ・トゥエンティトゥ)を蹴ったあとのミスや、スクラムでのミス、ブレイクダウンでジャッカルを取られるなど、自分たちにフォーカスするのであれば、その時間帯はできるだけそういったペナルティやミスをなくして、敵陣で精度高くプレーしたかったです。先ほど言ったように、全員でそういった時間帯にどういうプレーをしなければいけないのか。スマートにプレーしないといけないのか。準備の段階から全員でもっと詰めていかなければいけないと思います」

──スクラムでは前半にペナルティがあり、後半も苦しみましたが、プレーしていてどういう肌感覚でしたか。

「僕たちとしては少しフラストレーションが溜まる部分もありましたが、そこは言い訳なしで、レフリーにアジャストしていくことが少しできなかったと思います」

コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズのデイブ・レニー ヘッドコーチ(左)、李 承信 共同キャプテン

コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ヘッドコーチ

「正直、パフォーマンスはすごく悪かったと思います。前半30分までは完全に圧倒されていました。今季、ここまでいいディフェンスができていましたが、今日のディフェンスに関してはあまり自分たちの意図が見えない内容でした。前半、あれだけパフォーマンスが悪かったにも関わらず、あの状態で最終的に20対20と同点でハーフタイムを迎えることができ、最終的になんとか勝つことができました。パフォーマンスの部分に関しては正直、フラストレーションは溜まっています。ただ、チームとしてのキャラクターは素晴らしいものを見せられたと思います。

こういう、最後どちらに転ぶか分からない試合をこれまで自分たちは落とすことが多かったですし、『いいパフォーマンスを出した上で負ける』という形で終わることが何度もあったので、最終的に勝利することができたことをポジティブに捉えて、まだ成長できることを分かった上で次につなげていきたいと思います」

コベルコ神戸スティーラーズ
李承信 共同キャプテン

「プレーオフ(トーナメント進出)に向けて本当に大事な一戦だったので、拮抗した試合で勝てたことをうれしく思います。80分間をとおして自分たちのラグビーができたかというと、プレーしていた選手たちもフラストレーションが溜まるような時間帯が本当に多かったです。アタックでもオフロードのミスであったり、ブレイクダウンでもどんどんチャンスを自分たちが手放してしまっていました。東京SGさんのスピードであったり、テンポであったり、フィジカルなところで、本来の自分たちのディフェンスで圧倒できなかったところがこのスコアに表れているのかなと思います。

勝って反省できるのは自分たちとしてもいいことだと思いますし、ここからどうやって学んで、今週より来週、自分たちが良いチームになれるか。その積み重ねだと思うので、そこはしっかり成長できるように頑張っていきたいです」

──うまくいかなかった理由と、それでも勝てた要因は何でしょうか。

「一つはコミュニケーションのところです。スペースに対してどこが空いているのか、一人ひとりのパスのつなぎ目など、そういう細かいコミュニケーションが足りなかったと思います。特にバックスのオフロードなど、ラインアタックでの簡単なミスが目立ってしまったところもあったと思います。勝てた要因としては、『マイボールになったときはしっかり敵陣で戦おう』とハドルで何度も話していました。敵陣に入るとフォワードのところ、スクラムやモールでドミネート(支配)できていたのが大きかったです。あとは、しっかりスコアを奪わなければいけないところでスコアできていたので、最終的には勝てたと思います」

試合詳細

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