NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第15節
2024年5月4日(土)14:30 厚木市荻野運動公園競技場 (神奈川県)
クリタウォーターガッシュ昭島 vs マツダスカイアクティブズ広島
クリタウォーターガッシュ昭島(D3)
中途半端な姿は見せられない。倒れるたびに
立ち上がってきたベテランが100%を出し切る
NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24ディビジョン3のレギュラーシーズン最終節。クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、マツダスカイアクティブズ広島を厚木市荻野運動公園競技場に迎え、D2との入替戦進出を懸けた大一番に臨む。
勝てば入替戦進出、引き分け以下なら即シーズン終了の一戦を前に、練習の雰囲気も緊張感が高まっている。その中、ひと際気合いの入った姿を見せていたのは、長期のけがから復帰したピッチ外でのリーダー役となるクラブキャプテンの中尾光男だ。
「今シーズンはけがでまったくチームに貢献できていないので、最後になんとか間に合って良かったです。(この試合で)負けたら終わり。とにかくチームに貢献したいです」
中尾光男はこれまで3度の前十字靭帯断裂という大けがに見舞われ、そのたびに立ち上がってきた。3度目の前十字靭帯断裂のときには引退も考えたが、周りの声に背中を押されて、現役続行を決めた。
そこからは、「いつ引退するか、いつ現役を終えるか」を考え続ける日々。そのことで頭がいっぱいになった。そして、たどり着いた答えは、「毎日、自分のできる100%のプレーをすること」だった。
「息子がいるのですが、中途半端にやっている父親はカッコ悪いでしょう。そんな姿を見せられないですし、両親に対しても、中途半端な姿は見せたくないです」
中尾光男にとってはけがからの復帰戦、WG昭島にとっては入替戦進出を懸けた負けられない戦い。誰もが譲れない大事な試合を前にして、不屈の男は言う。
「自分のやることは変わらないです。その日できることを100%やり切る。スキルも気持ちも、すべて出し切って、全力でプレーします。高校からラグビーを始めましたが、この年齢になるまで現役を続けているなんて、想像もしていなかった。ここまでこられてとても幸せです」
中尾光男のトレードマークといえば“白のヘッドキャップ”。大学生のときに父親がくれたものを、それ以来、ずっと使い続けている。長いラグビー生活を支えてくれたすべてのものに感謝して、中尾光男が入替戦への切符をもぎ取りにいく。
(匂坂俊之/Rugby Cafe)
マツダスカイアクティブズ広島(D3)
勝って入替戦へ。いまが最高潮のSA広島は、立ち上がりからテンションMAXでぶつかっていく
3位のマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)と4位のクリタウォーターガッシュ昭島の入替戦進出を懸けた直接対決となったディビジョン3の最終節。SA広島は引き分け以上で入替戦進出が決まる状況だが、勝利だけを目指しビジターの地に乗り込む。中居智昭ヘッドコーチは「ここで勝ち切れるチームでないと、D2に上がれるチームではない。しっかりと勝ってD2への挑戦権を得たい」と力を込めた。
今季は開幕戦に勝って好スタートを切ったが、シーズン中盤には3連敗を喫する難しい時期もあった。﨑口銀二朗キャプテンは「シーズン中盤に負けが重なって、その負け方も良くなくて、チームの雰囲気もすごい重くなったけど、スタッフがいい働きかけをしてくれて、選手もしっかりと奮起した。それでチームもまとまれたと思います」と振り返り、自信を持って最終節に臨んでいく。
「最終節に入替戦進出を懸けた戦いができるのがうれしい。チームの状態もいま一番いい状態だと感じているので自信がありますし、ここでシーズンが終わってしまうのは本当に悔しい。この先に進んでもう一段階レベルアップしてシーズンを締めくくりたいと思います」
大一番に臨むにあたって、注目したいのは立ち上がりだ。
先発メンバーで最年長となる高見優太は「こういう試合は相手より優位に試合を進めることが大事。自分たちが劣勢に立ってしまったら、どんどんプレッシャーが大きくなる。点数だけでなく、声やテンションとか、そういう見えない部分で優位に立つことも意識して戦っていきたい」と落ち着いて言うと、芦田朋輝はすでに気合い十分で「とにかくファーストプレーですね。どれだけ相手より一歩前に出られるか。そこですべてが決まると思っています。戦術はそのあとについてくるものだと思う」と話した。
チーム状態は上々だ。最終節に次のステージを目指した戦いができることに喜びを感じ、SA広島の選手たちは立ち上がりからテンションをMAXにして相手にぶつかっていく。
(寺田弘幸)