NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第15節
2024年5月4日(土)14:30 厚木市荻野運動公園競技場 (神奈川県)
クリタウォーターガッシュ昭島 38-33 マツダスカイアクティブズ広島
辛勝でも入替戦のチケットは離さず。
課題を反省し、精度を高め、チーム一丸でD2昇格に挑む
NTTジャパンラグビー リーグワン 2023-24ディビジョン3最終節。クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、厚木市荻野運動公園競技場に、マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)を迎え、D2との入替戦進出を懸けた一戦に臨んだ。
前半は、WG昭島が先制するも、SA広島が追いつき、追い越すクロスゲームに。後半に入ると、WG昭島が立て続けに点数を重ね、後半31分には38対21とリードを広げる。残り10分を切ったところで17点差。2トライ2ゴールでも届かない点差は、すでに勝敗が決したかに思えた。
しかし、そこからSA広島が必死の猛追で2トライ1ゴールをもぎ取る。後半40分を告げるホーンが鳴ってもなお、どちらが勝つか分からない展開に会場も固唾を呑んで見守る中、最後はWG昭島が辛うじて逃げ切り、38対33で試合終了。この結果、WG昭島はD2との入替戦進出が決定し、D2昇格を懸けて、日本製鉄釜石シーウェイブスと対戦することとなった。
前半のクロスゲームから流れを変えたのは、後半4分に投入されたベテランの大政亮だろう。投入直後の後半8分には、反撃開始の狼煙を上げるトライを取ってみせた。
「点数的にビハインドの状態だったので、先にスコアすることを意識しました。(相手の意識が外側に行っているところで)内側からフォローすることでトライまでつなげられて良かったです」(大政)
そのあとは、経験豊かなピアーズ・フランシスがチームに落ち着きをもたらし、WG昭島の誇る強力な両ウイングが追加点を重ねる。特にこの試合でハットトリックを達成し、プレーヤー・オブ・ザ・マッチにも選ばれたホセア・サウマキのフィジカルの強さは圧巻だった。
ただし、後半、点差が離れたにもかかわらず、SA広島に逆転の希望を与えてしまったことは、入替戦に向けての大きな課題だ。D2昇格を果たすために、より精度を高く、チーム一丸となることができるか。いよいよチームの底力を試されるときがやってきた。
(匂坂俊之/Rugby Cafe)
クリタウォーターガッシュ昭島
クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ
「まずは選手たちが、今までやってきたことを誇りに思ってゲームに臨んでくれました。前半はすべての面で圧倒することができましたが、緩いパスやキックで相手につけ込まれてしまった部分もありました。後半もいいスタートを切ったものの、だんだんと追いつかれそうになり、私自身も緊張してしまいました。それでも、最後はセットピースで、マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)との違いを出すことができたと思います」
──入替戦進出が懸かった大事な試合を前に、選手たちにはどういった言葉を掛けましたか?
「ここ数週間は心構えについて話をしてきました。『チャンピオンチームになろう』という話をずっとしていて、チャンピオンチームとは、何かを勝ち取るということではなくて、チャンピオンのようなプレー、態度から始まるということ。そういった意味でも、今日は今季で一番いい試合だったと思います」
──次はディビジョン2との入替戦です。日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)との入替戦に向けての思いを聞かせてください。
「こういう大きな試合で勝つには、それぞれが自分の役割をしっかり遂行することが必要です。特にセットピースはまだ完璧にはできていないので、入替戦に向けてさらに取り組んでいきたいです」
クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星ゲームキャプテン
「ずっと課題だった試合の入りのところで、今日はうまく入ることができました。『今日の試合は決勝戦だ』と(ワイクリフ・パールー)ヘッドコーチに言われていて、それに対して僕らも気持ちがMAXの状態でいけたところが良かったと思います。ただ、後半は受けてしまったところもあったので、入替戦ではそこをはね返せるように意識したいです」
──釜石SWとの入替戦に向けての思いを聞かせてください。
「選手それぞれに求められていることがあるので、それを100%遂行することが必要だと思います。いまは(3週連続の試合で)全員、体がキツいと思うので、まずはしっかりとリカバリーをして、万全の状態で入替戦に臨みたいです」
マツダスカイアクティブズ広島
マツダスカイアクティブズ広島
中居智昭ヘッドコーチ
「クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)の素晴らしいパワーランナーとアタックの圧力に、受けに回る部分が多く、スコアも離される場面がありましたが、今季取り組んできたディフェンスの部分で最後まであきらめず、食らいついて、最後まで勝敗が分からない状況に持ち込んだのは、選手の意地が出た試合だったと思います。試合内容としてはセットピースが不安定で、特にラインアウトでマイボールの獲得ができなかったことが大きかったです。シーズン最後の試合になってしまいましたが、WG昭島と3位を懸けた意地の張り合いができて、チームとして財産になりました」
──今季を振り返って。
「今季は、1年間しっかりトレーニングをして、全員が力をつけて、昨季までなら届かなかったところにチャレンジできるようになりました。来季は細かいスキル、セットピースをさらに磨いて、D2に上がるという強い気持ちをもって戦っていきたいです」
マツダスカイアクティブズ広島
﨑口銀二朗キャプテン
「試合の入りのところで、WG昭島のパワーランナーに対して後手に回ってしまって、流れに乗れませんでした。ただ、そこで崩れることなく、前半のうちに逆転できたのは、これまで積み上げたことが発揮できたからだと思います。自信をもって後半に臨みましたが、簡単にトライを取られてしまって、悔しい気持ちが強いです」
──最後のワンプレーで、ペナルティからラインアウトを選択した場面について振り返ってください。
「最後はラインアウトからトライまで、相手を崩していくイメージはできていました。ノットストレートになってしまいましたが、チャレンジした結果なので、心残りはありません」
──今季を振り返って。
「開幕戦で勝って、白星スタートでシーズンが始まったのですが、中盤は失速してしまいました。それでも、最後の3試合はチームとして成長できたという実感がありました。だからこそ、今日の試合に勝って、次につなげたかった。この悔しさを忘れずに、来季こそD2にチャレンジできるように取り組んでいきたいです」