2025.02.21[GR東葛]大学で試合に出られなくとも──。熱意と鍛錬でつかんだ「スタートライン」

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第6節
2025年2月22日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs 清水建設江東ブルーシャークス

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

新しく導入された期限付移籍でNECグリーンロケッツ東葛に加入した吉岡義喜選手(写真:NECグリーンロケッツ東葛)

2月22日、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は柏の葉公園総合競技場で清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)と対戦する。GR東葛にとってはホストゲーム、上昇への足掛かりをつかむためにも重要な一戦だ。

この試合では、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)から期限付き移籍で加入した吉岡義喜がリザーブメンバーに名を連ねている。出場すれば、彼にとってはリーグワン初キャップを刻むメモリアルマッチとなる。

得意なプレーは「ハーフウェーライン付近から左足と右足、どちらの足からでもグラバーキックでバックスペースを狙えること」と言う。また、日々のひたむきな鍛錬の成果もあり、静岡BRのコーチからは「(静岡BRに)来たときよりもパスが断然うまくなった」とお墨付きをもらった。

東洋大学では、神田悠作(現・九州電力キューデンヴォルテクス)、清水良太郎(現・狭山セコムラガッツ)とのポジション争いに敗れ、吉岡は大学の試合ではほとんど公式戦の出場機会を得られなかった。だが、そこで味わった悔しさがあったからこそ、「リーグワンでプレーしたい」という感情があふれ出し、大学卒業後はオーストラリアのブラザーズRCで自らを鍛え上げた。そして静岡BRのトライアルを経て、2023年11月に入団をつかみ取った。

チャンスを与えてくれた静岡BRを離れるのは断腸の思いがあったが、自らの成長を期して吉岡はGR東葛への期限付き移籍を決断した。

「大学では試合に出ているところを親に見せられなかったので恩返しをしたい」

リーグワンの舞台で躍動することは、両親や指導者をはじめ、これまで自分を支えてくれた大勢の人たちへの何よりの恩返しになる。

ただ、吉岡が抱く思いはそれだけではない。彼には後輩と交わした、ある約束があるのだ。大学の寮で同部屋だった後輩も、吉岡と同じく試合には絡めなかった。当時、その後輩に吉岡はこう告げた。

「俺はリーグワンに行くから、見とってや」

そして吉岡はリーグワンのチームへの入団を実現させた。後輩以外にも、かつての自分がそうだったように、試合に絡めていなくても努力を続けている大学生ラガーマンが大勢いる。自分がリーグワンで活躍すれば、そんな選手たちに勇気と希望を与えられるのではないか。

チームの勝利、自分自身の成長、多くの人たちへの感謝の念、自分と同じ境遇の選手たちに勇気と希望を与えること。さまざまな思いを背負う吉岡は、決意に満ちた表情で江東BS戦への意気込みを述べた。

「これがスタートラインです」

(鈴木潤)

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