9月27日に開幕する「ジャパンラグビー リーグワン ライジング2025」は選手育成を目的とする新しい大会です。今回は、参加20チームを3つのエリアに分け、各チームがエリア内で異なるチームと2試合を行います。
(マッチスケジュール、出場メンバー、試合結果等はこちらをご覧ください)
ここでは東エリアの10チームについて、各チームの番記者による注目選手をご紹介していきます。
東エリア参加チーム
※チーム50音順
NECグリーンロケッツ東葛
髙井良成(CTB/WTB)

アジアラグビーセブンズシリーズに出場する7人制日本代表に2年連続で選出されたスピードスター。NECグリーンロケッツ東葛や日本代表で計測したGPSの数値では、時速35km台後半から36km前半を叩き出した。目標とする選手はラグビーワールドカップ2019で活躍した福岡堅樹。「福岡さんは初速が速い選手の代表例。理想の姿ですし、僕も5mの幅で勝負できる選手になりたい」と自分自身に高い基準を設定し、さらなる進化を見据えている。
亀山昇太郎(PR)

早稲田大学で圧倒的な存在感を示したプロップ。今年1月にアーリーエントリーでの加入が発表されると、2月22日のディビジョン2第6節・清水建設江東ブルーシャークス戦で早くもデビューを飾り、昨季はリーグワン5試合に出場した。屈強な体とパワーを生かしたスクラムを武器に、NECグリーンロケッツ東葛のフロントローを支える新鋭は、日々練習に真摯に向き合う向上心の化身でもある。今季はパワーアップしたプレーに期待したい。
(鈴木潤)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
山﨑洋之(WTB)

チームが不振にあえいだ2023-24シーズン、後半戦で先発に名を連ね、停滞した空気を変えたのが彼だった。最終戦の東京サントリーサンゴリアス戦では2トライを挙げ、快勝の立役者に。チームは6位に終わりプレーオフトーナメント進出はならなかったものの、その活躍は次期シーズンにつながる希望を灯した。昨季は公式戦出場こそなかったが、トレーニングマッチではトライゲッターとして存在感を発揮。チームの底上げに大きく貢献した。この「リーグワンライジング」でも未来を切り拓く足跡を刻む。
福田陸人(HO/FL)

明治大学時代はフランカーで活躍し、2022年のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ加入後にフッカーへ転向。公式戦出場の機会をなかなかつかめなかったものの、2023-24シーズンの第15節で初キャップ。昨季の公式戦出場は2試合にとどまるも、トレーニングマッチでは何度も2番を背負い、実績と信頼を積み上げた。マルコム・マークス、江良颯といった強力なライバルたちとのポジション争いの中、主力への階段を駆け上がるため「リーグワンライジング」で飛躍の物語を描く。
(藤本かずまさ)
クリタウォーターガッシュ昭島
江本洸志(WTB)

昨季はけがで出場機会に恵まれなかったが、誰よりも声を出しチームを盛り上げるムードメーカーであり、ウイングとフルバックの両方をこなすバックスだ。天理大学時代には全国大学選手権大会初優勝にも貢献した。ヘッドコーチからは「グラウンドにいるだけで良い」といい意味で信頼される存在で、試合中は状況に応じてポジション変えながらチームに柔軟さとリズムをもたらす。音楽好きであいみょんのライブにも足を運び、野球は巨人ファン。復帰を目指す今季は、誰よりも強い思いでピッチに立つ。
梶原瑛(PR)

昨季、右プロップから左プロップへと転向。シーズン途中から頭角を現し、トレードマークのスキンヘッドとともに、低く力強いヒットで最前列を支えた。一方で「スクラムをさらにレベルアップさせたい」と自らに厳しく向き合う。練習後はトレーニングジムに最後まで残って汗を流すなど、フィジカル強化にも余念がない。ヴィンテージの古着やウィスキーに造詣が深いなど、多趣味な一面も魅力だ。今季は、スクラムでの存在感とフィールドでの貢献を両立させ、プロップの主軸としての飛躍が期待される。
(匂坂俊之)
狭山セコムラガッツ
神田康生(LO)

194cmという恵まれた体格を武器にした激しいコンタクトが魅力の2年目。ルーキーイヤーでのリーグワンデビューは叶わなかったこともあり、今季こそはという思いは強い。オフ期間はフィジカル強化を図りながら、フランカーにも挑戦中。「動きがまったく違うので、イチから覚えないといけないことは多かったですが、いまはフランカーの楽しさが分かってきた」。リーグワンライジングでもフランカーとして出場が予定されており、今季へ向けた大きなアピールの場になることは間違いない。
ナイバルワガ トマシ(WTB)
父親は元フィジー代表、兄は豊田自動織機シャトルズ愛知に所属というラグビー一家に育った逸材。9歳で来日し、秋田工業高校、天理大学と強豪校で力を磨き、今季から狭山セコムラガッツに加わった。持ち味は突破力に優れたボールキャリー。リーグワンライジングでは「パスを含めた積極的なライン参加で、アタックの面でもアピールしていきたい」と語る。将来的には、リーグワンの舞台で兄との対戦することも楽しみにしているという。
(松野友克)
清水建設江東ブルーシャークス
西端玄汰(FB)

昨季はアーリーエントリーでリーグワンでデビューし、先制トライを奪う鮮烈なデビューを飾った。今夏のプレシーズンマッチでも途中出場から2トライをマークし、得点感覚の鋭さを印象づけている。吉廣広征ヘッドコーチも「アタックのランニングコース、献身的な守備は現役時代同じポジションだった私から見てもディビジョン1でも通用する素質がある」と高く評価している。今季はフルバックとして定位置をつかみ、攻守両面でさらなる飛躍を目指す。
安達航洋(LO)

昨季は新人ながらリーグワンの公式戦14試合に出場。落ち着いたプレーに加え、社業と練習を両立する真面目な姿勢でチームを支えた。さらに、今年の夏にはチームの研修制度を利用してフランス・トップ14のUSAペルピニャンで約1カ月の研修に参加。世界レベルに触れて成長し、帰国後のブロンコテスト(体力測定)ではFW陣で1位を記録。2年目の今季は、持ち前の安定感に加え、チーム内でのリーダーシップ発揮にも期待がかかる。
(奥田明日美)
日本製鉄釜石シーウェイブス
落和史(SO)

スキルセットの高さに定評のあるスタンドオフ。「昨季より格段にレベルが上がっている」(オツコロ カトニ アシスタントコーチ)とコーチ陣からの評価も非常に高まっている。オフはこれまで以上にラグビーと向き合った。「全部がそこそこできる選手じゃなく、すべてのスキルをトップレベルにしたい」とフィジカル、特に走力の強化に努めた。チームには昨季印象的な活躍を見せた同ポジションのミッチェル・ハントがおり、二人の起用法にも注目が集まる。
鈴木雄海(LO)

昨季加入の若きロック。非常に高いポテンシャルを持ち、運動能力の高さはトウタイ・ケフ ヘッドコーチの折り紙付きだ。坂下功正クラブ理事/総監督が「リーグワンライジングをチャンスと感じて、取り組む姿勢にも目を見張るものがある」と話したように、本人も絶好のアピールの場として捉えている。信条は「ラグビーを楽しむこと」。フォワード陣随一のスピードと、得意とするモールアタックで存在感を高められれば、目標とするファーストキャップも時間の問題だろう。
(髙橋拓磨)
日野レッドドルフィンズ
岩下丈一郎(CTB)

強靭な下半身が生み出す走力と、力強いキャリーで相手の防御ラインに何度もアタックを仕掛け続けるプレーが持ち味。三菱重工相模原ダイナボアーズ在籍時は妥協を許さないメンタルで長期のリハビリを乗り越え、ひざの大けがから復帰してみせた。「ハードワークし続けられる運動量が僕の生命線。倒されてもすぐ立ち上がり、粘り強く相手に向かうプレーを見せたい」と大卒後在籍4チーム目となった新天地、日野レッドドルフィンズでの躍進を誓う。
高城喜一(FL)

2024年2月にアーリーエントリーで加入。パワフルなボールキャリーが魅力の大型フォワードだ。法政大学ではセンターやナンバーエイトでプレーしたが、日野レッドドルフィンズ加入後はフォワード1本で勝負すると決意、フランカーに加えてロックのポジションにも挑戦している。筋量などフィジカルも大幅に伸びており「コンタクトプレーが自分の持ち味。タックルなど激しいプレーをぜひ見てほしい」と積み上げた鍛錬の成果を披露する。
(関谷智紀)
三菱重工相模原ダイナボアーズ
加島DJ(WTB)

地元・神奈川県出身のウイング。本名は「加島有盛デミトリスジェモール」。2024年に男子7人制ラグビー日本代表としてタイ遠征に参加するも、15人制に専念することを決意。昨季の第17節にリーグワン初キャップを達成した。積極的なランが持ち味で、ダイナボアーズのウイングの中では屈指のフィジカルを誇る。加入後の2シーズンで、コツコツとプレーを磨き、3シーズン目の今季、レギュラー定着を目指す。
佐川奨茉(HO)

日本大学ではキャプテンを務め、昨季のアーリーエントリー加入後、ナンバーエイトからフッカーへ転向。強みである高い身体能力とハンドリングスキルをベースに、フッカーとしての技術習得に全力で取り組む。昨季の第17節、ディビジョン1最年長(当時)の安江祥光からバトンを引き継いでデビューすると、いきなりトライを決めた。シーズン後はJAPAN XVに選ばれて2試合に出場。ニュージーランドへのラグビー留学にも参加した、チームの成長株。
(宮本隆介)
ヤクルトレビンズ戸田
守源(LO)

ニコニコの笑顔がトレードマークのロック。優しい性格の持ち主で自己主張は控えめだが、いざスイッチが入ればチームのために誰よりもハードワークし、体を張れる熱い男に変貌する。チーム加入3年目になるが、指導陣から「今後のレビンズは守源が引っ張るんだ」とハッパを掛けられるほどポテンシャルは高い。外国籍選手も多いロックというポジションでも主軸に成長できる力は備えており、今季が”開花するとき”かもしれない。
斉藤大智(WTB/FB)

けがからの復活を誓う若きウイング。昨季はプレシーズンの最初の練習ゲームでチームの初トライを奪うなど順調だったが、開幕直前に負傷離脱するとその後のシーズンを棒に振った。ただ、復活に向けた努力を人一倍積んできた自負はある。法政大学時代についたあだ名は「ガッツ」であり、ヤクルトレビンズ戸田に加入してからも全体練習後に必ず誰かを捕まえて基礎の反復を繰り返してきた”練習の虫”だ。今季こそ積み重ねの成果を示してみせる。
(鈴木康浩)
リコーブラックラムズ東京
山村勝悟(No8)

2023年に加入したフランカー・ナンバーエイト。リーグワンでの出場はまだないが、天理大学時代には2年生ながら背番号8を背負い、日本一を経験した実績十分のプレーヤーだ。フォワード第3列は屈強な外国出身選手が多く、出場機会を得るには厳しい競争が待つ。だが練習から体を惜しまず当て、昨季はヘッドコーチ直々にタックル指導を受ける場面もあった。リーグワンライジングで飛躍のきっかけをつかみたい注目株。
稲葉聖馬(SH)

2024年に入団し、2年目。チームには4人のスクラムハーフが並ぶが、最も若いのが彼だ。昨季は世界的名手TJ・ペレナラの加入で出場機会には恵まれなかったが、その存在から得た学びは大きい。今夏、ニュージーランドはHawke's Bay Magpiesへ1ヵ月間のラグビー留学。人間的にもプレーヤーとしても成長を遂げた。試合の局面で光る球際のクレバーさと駆け引きを武器に、いかにチャンスをつかむか注目が集まる。
(原田友莉子)




























