9月27日に開幕する「ジャパンラグビー リーグワン ライジング2025」は選手育成を目的とする新しい大会です。今回は、参加20チームを3つのエリアに分け、各チームがエリア内で異なるチームと2試合を行います。
(マッチスケジュール、出場メンバー、試合結果等はこちらをご覧ください)
ここでは西エリアの6チームについて、各チームの番記者による注目選手をご紹介していきます。
西エリア参加チーム
※チーム50音順
九州電力キューデンヴォルテクス
高井迪郎(FL)

2022-23シーズン、チームがディビジョン2昇格を決めた試合で右膝後十字靭帯断裂の重傷を負い、翌シーズンは公式戦の出場なしに終わった。そして、不屈のファイターは昨季のディビジョン2第12節で約2年ぶりの復帰を果たした。かつてはチームキャプテンも務め、クラブのDNAである粘り強い守備を先頭に立って示すリーダーだ。鋭いタックルを繰り出してはすぐに立ち上がり、それを黙々と繰り返す。何度でも立ち上がるその姿はチームの模範であり、今季は完全復活を期す。
神田悠作(SH)

チームの誰もが認める練習の虫。「周りが止めなければずっと練習している」と評価されるが、その原動力はラグビーが好きだという熱い気持ちだ。昨季はけがの影響もあり、出場機会を伸ばすことはできなかった。それでも、その期間で大学、リーグワン、代表戦を数多くチェックし、スクラムハーフの選手の動きだけを観察。ブレイクダウンへの入り方とパスのさばき方を徹底的に突き詰めた。その一連のテンポの良さは昨季の出場試合でも証明済み。今季もさらに磨きをかける。
(杉山文宣)
中国電力レッドレグリオンズ
木村勇大(LO)
3シーズンぶりにリーグワン復帰となるベテランロック。今年1月に加入したが選手登録は間に合わず、昨季は通訳兼スタッフとして活動した。この夏は2年連続となるオーストラリアへの武者修行を敢行。けがで途中離脱したが、のちに優勝したチームの主力として活躍した。試合における「アウェアネス(認識力)」の持ち味を再確認した32歳は、「経験からくる気の利いたプレーを見せたい」と静かに闘志を燃やす。
久保太陽(NO8)
183cm105kgの体格を生かし、ロック、フランカー、ナンバーエイトでプレーできる大卒ルーキー。高校までバックスの経験があり「ハンドリングはフォワードの中で一番自信を持っている」。その持ち味を武器に「アタックでは頭一つ抜けられるように自分のカラーを出したい」と奮い立つ。リーグワンデビューに向けて、「開幕戦に出るという気持ちで、プレシーズンからいろいろチャレンジして全力で戦いたい」と気合十分だ。
(湊昂大)
花園近鉄ライナーズ

丸山凜太朗(SO)
昨季、トヨタヴェルブリッツから花園近鉄ライナーズに移籍。シーズン序盤は守備面の課題などもあって出場機会を得られなかったが、終盤はクウェイド・クーパー(現アタックコーチ)とのダブル司令塔として存在感を発揮。そのキックセンスを見せつけた。視野の広さと、多彩なキックを持ち味にする“ファンタジスタ系”のスタンドオフでもある丸山だが、自ら“日本人がスタンドオフを務めること”に強いこだわりも持つ。新加入で南アフリカ代表のマニー・リボックからも刺激を受けて、さらなる飛躍を目指す。
中村友哉(SH)

今季からスキルコーチを務めるウィル・ゲニアという世界的なスクラムハーフを身近で見続け、地道に成長してきた中村は、より積極的にボールを動かす今季の花園近鉄ライナーズのスタイルで活躍が期待される選手の一人である。豊田自動織機シャトルズ愛知から即戦力として藤原恵太も加入し、スクラムハーフは日本人選手4人の争いとなる。162cmと小柄ではあるが守備でも成長中の27歳はニュージーランドへの短期留学も経験。横一線のポジション争いで、積み上げてきた経験値を発揮したい。
(下薗昌記)
マツダスカイアクティブズ広島
井上陽公(SO)

ルーキーイヤーの昨季、スタンドオフの井上陽公はディビジョン3の「ベストキッカー」を受賞した。キック成功率は82.1%をマーク。得点王に輝いた杉山祐太(クリタウォーターガッシュ昭島)を抑えて受賞した井上には2年目も正確なキックでチームをけん引する活躍が期待されるが、ライバルはチーム内にいる。同ポジションには同い年の嘉納一千がいて、昨季に開幕スタメンを飾ったのは井上だったが、プレータイムが長かったのは嘉納だった。井上は持ち味のゲームメイク能力を武器に勝利に貢献する。今季も嘉納との競争には注目が集まる。
富田凌仁(PR)

170cm105kgのプロップは、1年目の昨季は悩むことも2倍で四苦八苦。『仕事100% ラグビー120%』をモットーに掲げるチームの中で「社会人として仕事もやらないといけないし、ラグビーの悩みもあってしんどかった」と振り返ったが、もう広島の土地にも慣れた今季は仕事もラグビーもレベルアップを期す。セットピースで負けないこと、チームのために走ることの二つを自分に課してフロントローを底上げする。
(寺田弘幸)
ルリーロ福岡
齋藤史哉(SH)

加入1年目の昨季は公式戦出場ゼロに終わったが、その悔しさを糧に成長を遂げた。持ち味のアグレッシブさが空回りした経験を振り返り、今季は冷静さと俯瞰力を身に付けている。オフには体力強化と技術向上に徹底的に取り組み、鋭いタックルに加え、リズムあるパスワークも習得。選手やスタッフからの信頼を着実につかみつつある。「まずはメンバー入りし、試合に出たい」と強い覚悟を示し、激しい競争の中で存在感を放とうとしている。
荒井翼(PR)

高校、大学時代に大きな実績こそ残せなかったが、「リーグワンでプレーしたい」という思いを胸に飛び込んできた大卒1年目の挑戦者である。環境の変化に戸惑う選手が多い中、人懐っこい笑顔と温和な性格で瞬く間にチームに溶け込み、翼の名にちなんだ愛称“エンジェル”を得た。だが、その可愛らしい響きとは裏腹に、体重108kgから繰り出す“エンジェル・タックル”は一撃必殺の破壊力を誇る。信念と優しさを併せ持つ新星が輝きを放つ。
(柚野真也)
レッドハリケーンズ大阪
山田歩季(CTB)

京都成章高校、明治大学卒のルーキー。アーリーエントリーで登録されていた昨季は、5月2日に行われたディビジョン2第13節の途中出場でファーストキャップを獲得。ポジションは、センター。サイズは大きいわけではないが、レッハリらしい誠実な泥臭さ、堅実な判断、基本に忠実な一つひとつのプレーの正確さと力強さで、攻守に渡ってチームに勢いをもたらす。リーグワンライジングでの経験を糧に、さらなる躍進を期待したい選手。
金子琉聖(LO)

佐賀工業高校、明治大学を経て、昨季はアーリーエントリーで加入。その後、一旦退団するが、練習生としてチームに帯同。プレシーズン前のチーム合宿ではMVPを受賞し、リーグワンライジング開幕前にチームへの再加入が正式に決まった。193cmの長身を生かしたラインアウトでの貢献はもちろん、密集した場面でも泥臭くハードワークを重ねられるロック。ひたむきに重ねてきた努力と情熱は、まずはこのリーグワンライジングで遺憾無く発揮したい。
(前田カオリ)




























