2026.03.13[WG昭島]止まった時間の先へ。母の背中を思いながら追い求める“自分のラグビー”

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第9節
2026年3月15日(日)13:00 Balcom BMW Rugby Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島(D3)

クリタウォーターガッシュ昭島の辻村翔平選手。今節、18番のリザーブから出場予定だ

ワールドベースボールクラシックでの大谷翔平の活躍に日本中が熱狂する一方、クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)には、かつてU20日本代表として日の丸を背負い、世界と戦った“翔平”がいる。辻村翔平だ。

U20日本代表として世界を経験した時間は、いまの辻村にとっても大きな財産となっている。

「一緒にプレーした選手の中には、いま日本代表で活躍している原田衛(モアナ・パシフィカ)もいて、そういった選手たちとプレーできたことは、自分のスキルアップにもつながりましたし、考え方の面でもいい影響を受けたと思います」

その後、近畿大学からWG昭島に加入。しかし、人生は思い描いていたようには進まなかった。入部した年の8月、新型コロナウイルスの後遺症に見舞われ、そこから約2年間、ラグビーも仕事もままならない生活が続いた。苦しい日々の最中、さらに大きな出来事が起こる。母親にがんが判明したのだ。辻村の母は、息子のラグビーを誰よりも楽しみにしていた。復帰の目処が立ったころ、母は入院していた。辻村は「来週くらいから練習に復帰するよ」と連絡した。しかし、その翌週、母はこの世を去った。

「母は僕がやっているラグビーが好きで、ずっと見てくれていました。だから、もう一度ラグビーをしている姿を見せるために頑張ろうと思っていました。試合や練習をしている姿を見せられなかったのは残念です」

母の存在はいまも辻村の中にある。ただ、それを単純な“モチベーション”という言葉で片付けるつもりはない。

「もちろん、ラグビーを続ける理由の一つではあります。でも、いまの自分のプレーには納得していなくて。過去の自分なら、もっとやれていたと思うんです。もし母がいまのプレーを見ていたら、多分怒られるくらいの出来だと思うので。もっと良いラグビーをしたい」

厳しくも、誰よりも自分のラグビーを見てくれていた存在。その背中を思いながら、辻村翔平はもう一度、自分が納得できるラグビーを追い求めている。大谷翔平の活躍に日本が沸くいま、もう一人の“翔平”もまた、自分のグラウンドで前へ進み続けている。

(匂坂俊之)

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