NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第12節(交流戦)
2026年3月21日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs リコーブラックラムズ東京
埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)戦で劇的な勝利を手にした、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)。その試合当日、運命の歯車が動いた一人の男がいた。プロップの木原優作である。
バックアップメンバーとして、クラブハウスのある熊谷から秩父宮ラグビー場へ向かう早朝のバスの中で急きょ、メンバー入りの可能性を堀江翔太フォワードコーチから告げられた。
「まったく予感はありませんでした」と振り返る。それでも木原は動じなかった。スパイクもウェアも、すでに鞄の中に入れていた。そして何より、「この1週間、練習でもオフフィールドでもいい準備ができていた」という手ごたえがあった。試合前、金沢篤ヘッドコーチから「よろしく」と短く声を掛けられ、背番号入りのジャージーに袖をとおした。
だが、グラウンドに立てば話は別だ。
「試合前より、実際に出てからのほうが緊張しました」
そう笑う木原にとって、これが今季初出場。さらにリーグワンの舞台でS東京ベイと対戦するのも初めてだった。
迎えた最初のスクラム。足を滑らせ、ペナルティを取られる。「あ、落ちちゃったな」と自分でも分かったという。だが次の瞬間、背後から声が飛んだ。後ろで支えるリアム・ミッチェル、隣で組む佐藤健次。
「次はこうしよう。大丈夫だから」
仲間の言葉が、不安を払うように背中を押した。2本目以降は見事に修正し、手ごたえをつかんでいく。
試合は終盤、37フェーズに及ぶ連続アタックの末に同点トライが生まれ、さらに逆転のコンバージョンゴールが決まる。土壇場でメンバー入りした若きプロップは、その激闘の只中で、確かな爪痕を残した。
勢いのまま、木原は今節でもチャンスをつかんだ。相手はリコーブラックラムズ東京。スクラムの強さで名を馳せるパディー・ライアンとの対峙が待っている。それでも木原は言い切る。
「相手が強くても、自分たちの強みをどう出すか。それだけです」
埼玉WKで迎えた4年目のシーズン。環境にも慣れたいま、実力者がひしめくチームの中で求められるのは、「自分にしかできないプレー」を刻むことだ。ブレイクダウン、ボールキャリー、そしてディフェンスの激しさ。武器を磨き続ける若武者は、突然訪れたチャンスを乗り越えた一戦を経て、前へと進む。
(原田友莉子)



























