NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第13節(交流戦)
2026年3月28日(土)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東京サントリーサンゴリアス vs 埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)
第13節・東京サントリーサンゴリアス戦で、今季初出場を迎える古畑翔。
日本代表キャップを携え、ピッチに戻ってくる。忘れられぬ記憶がある。2021年秋のプレシーズンマッチでのこと。
当時、左プロップと右プロップの『二刀流』を目指し、3番側のスクラムに挑戦を始めた古畑だったが、試合序盤に組んだスクラムの崩れ方が悪く逃げ場を失った。直後、両腕を「無数の針で刺されている」ような激痛が襲う。痛み止めも効かず、3日間は眠れぬ夜が続いた。もともと80kgほどあった握力は、受傷直後には20kgまで落ち込んだという。
「治るか治らないか。ラグビーができるかできないかというレベルでした」
首の前部を切開する大手術を受けた。
全治まで丸1年。走ることはできても、ラグビーのスキル練習はできない。チームが戦う中、自分はその輪に加われないもどかしさが胸に積もった。
それでも古畑はシーズン中のチームメートに余計な心配を掛けたくなかったと、自らの気持ちを多くは語らなかった。
「それまでは本当に調子が良かったんです」
絶好調の時期だったからこそ、落差は大きかった。
長いトンネルを黙々と乗り越え、グラウンドに戻ったのは翌シーズン。だが、待っていたのは「また同じように痛めてしまうのではないか」というスクラムへの恐怖心だった。
それでも、古畑は逃げなかった。
恐怖に打ち勝つために選んだのは、「とにかく組むしかない」という治療法。何度もスクラムを組み、崩れそうになった瞬間にどう反応するかを体に叩き込んでいく。安全に崩れる姿勢はどこにあるのか。1番と3番では崩れ方もまったく異なるのだという。その感覚を習得すると、古畑は一つの信念にたどり着いた。
「自分がつぶれないように、しっかり勝つスクラムを組めばいい」
不屈の歩みは、日本代表選出という形で結実する。
2025年秋、ウェールズ代表戦に左プロップとして出場。出場時間はわずか3分間だったが、大観衆の中で「国としてのプライド」がぶつかり合う極限の熱量を肌で知った。一方で、練習からスクラムは「めっちゃ調子が良い」状態だったにもかかわらず、試合で組む機会がなかった悔しさも胸に残る。
現在は桜のジャージーでの経験を糧に、埼玉パナソニックワイルドナイツでは3番を中心にプレーする。異なる役割を求められる両ポジションで力を発揮できるよう、技術を磨き続ける日々だ。
「1日1日を大切にしたい。1試合でも長く試合に出たいし、何よりけがをしないことです」
一度はラグビー人生の岐路に立たされた男。絶望と恐怖を乗り越え、強靭な『二刀流』へと進化した古畑のスクラムが、チームを前へと押し出す。
(原田友莉子)



























