NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第14節
2026年5月2日(土)12:00 厚木市荻野運動公園競技場 (神奈川県)
クリタウォーターガッシュ昭島 13-44 マツダスカイアクティブズ広島
1年前の悔しさを晴らすために、連覇に際して託された思い
ゲームキャプテンを経験するなど、10番として経験を深めているマツダスカイアクティブズ広島の井上陽公選手「陽公」と書いて「ひたか」と読む。太陽のように明るく、社交性のある人に。そんな願いを込めて名付けられた井上陽公は、その名のとおり広い視野を武器に、縦100m×横70mのグラウンド全体へ継ぎ目なくボールを行き渡らせるスタンドオフだ。
この日も、自分以外の14人の選択肢を照らすようなゲームメークでチームを導き、マツダスカイアクティブズ広島をディビジョン3優勝へと導いた。
役割は、スタンドオフとしてタクトを振るだけにとどまらない。井上は前節と今節で、ゲームキャプテンを任された。そこには「ゲームキャプテンやリーダーをグラウンドの中に散りばめるように育てている」というダミアン・カラウナ ヘッドコーチの意図があった。
「落とせない試合だったのでプレッシャーも感じましたが、みなさんがサポートしてくれるので、気負い過ぎず、いつもどおりにできました」と感謝する。
もちろん、重責も実感した。たとえばレフリーとのコミュニケーションがその一例だ。「レフリーに伝えてほしい」という各選手の要望を一手に引き受けるのがゲームキャプテン。セットピースについてもフォワードから細かな要望を伝えられるため、「ゲームキャプテンをしてみて気づいたこと」もあるという。「視野が広がりました。いい経験だったと思います」と口にする。
チームは、昨季もD3で優勝を果たした。だがあと一歩で届かなかった、ディビジョン2昇格。その悔しさが、今季の原動力となった。
限られた練習時間の中でも、全員が同じ方向を見続けてきた理由は、ただ一つ。悲願の『D2昇格』のためだ。
井上にとっては、同期の嘉納一千とプレータイムを分け合いながら競ったレギュラーシーズンだった。D2/D3入替戦では「どちらが選ばれるかはコーチ次第」だが、もちろん「選ばれたら自分のやるべきことをブレずにやるだけ」と変わらずに歩みを進めることを約束した。
対戦相手を分析し、コーチ陣や選手が事前に立てたゲームプランをしっかり遂行すること。「ここが空いている」という事前の分析を信じ、しかし、ゲーム状況に合わせてプランの微調整を行うことをこれからも心掛ける。向かうはレギュラーシーズン最終節、そして、D2/D3入替戦だ。
試合後のこと。
クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)のファンはSA広島のファンに「おめでとうございます!すぐに追い掛けるので、先にD2へ行ってください」と声を掛けた。さらに記者会見後には、WG昭島の広報からヘッドコーチとキャプテンに「(D2昇格を果たして)D3では2連覇で(連続優勝が)終わることを願っています」とエールが送られた。
そう、入替戦とは一人で戦う舞台ではない。
昨季届かなかった一歩を、今度こそ越えるために。D3王者として、SA広島はD2/D3入替戦に挑む。
(原田友莉子)
クリタウォーターガッシュ昭島
クリタウォーターガッシュ昭島の内山将文ヘッドコーチ(右)、中尾泰星キャプテンクリタウォーターガッシュ昭島
内山将文ヘッドコーチ
「まずは優勝されたマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)の皆さまにお祝いを申し上げるとともに、遠方からお越しいただいたことに感謝いたします。また、今季のホストゲーム最終戦に足を運んでくださり、多くの声援を送っていただいたファンの皆さまにも御礼申し上げます。
試合については、大型の外国籍選手を擁するSA広島のパワープレーに対し、どれだけコンタクトで対抗し、自分たちのラグビーを表現できるかにフォーカスして臨みました。中盤には相手のアタックを抑え、流れをつかむ時間帯もありましたが、前半の立ち上がり10分と後半終盤で受けに回ってしまい、相手に主導権を握られたと感じています」
──「前半もう少しエリアを取れたら」、という話がキャプテンからありましたが、どのようなゲームプランで臨まれていたのでしょうか。また、ルーキー2名(八尾太介、小山田裕悟)がファーストキャップを獲得した今季ホストゲーム最終戦になりましたが、ファンの皆さまへのメッセージと合わせて、ご評価をお聞かせください。
「相手フォワードのサイズを踏まえ、エリアを取りながら試合を進めていくことを意識していました。ただ、前半はキックを有効に使うことができず、相手のミスを誘う場面はあったものの、エリア獲得の面では課題が残りました。
ルーキーについては緊張もあったと思いますが、それぞれが思い切りよくプレーしてくれました。また、出場していない新人選手たちもスタンドから声を出し、良い雰囲気を作ってくれていたと感じています。八尾もラインアウトスローの居残り練習に取り組むなど、責任感をもって準備していました。メンバーに入っている以上、しっかりやってくれると信頼していますし、今後の成長にも期待しています。
そして、ファンの皆さまには毎試合多くのご声援をいただき、本当にありがとうございました。苦しい試合や思うようにいかない場面でも温かい言葉を掛けていただき、選手たちは大きな力をもらいました。来季も引き続き応援していただけるよう、まずは最終戦に勝利し、良い形で締めくくるために取り組んでいきたいと考えています」
クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星キャプテン
「前半は風上だった影響もあり、キックの使い方を工夫すれば、もう少しエリアを獲得して前に出られたのではないかと感じています。もちろんSA広島の大きな選手とのコンタクト勝負になることはチーム全員が分かっていました。対抗できていた部分もありましたが、結果として受けに回る場面が増え、点差を広げられてしまいました。後半は14点差に迫る時間帯もありましたが、あの場面で得点できていれば試合の流れが変わっていたかもしれません。
最終戦に向けて、今日明らかになった課題をチーム全体で共有し、ラスト1週間しっかり準備して向かっていきたいです」
──前半はなかなかテンポが上がらない時間帯もありましたが、キャプテンとして仲間にどのような言葉を掛けていましたか。また、来季に向けた意気込み含め、ファンの皆さまへメッセージをお願いします。
「テンポが上がらない状況でも、アタックを継続すれば前に出ることができ、相手のペナルティも誘えていました。そうした手ごたえがあったので、苦しい時間帯でもボールを保持して、フォワード、バックスともにアタックを続けていこうと伝えていました。前半の終盤にはフェーズを重ねてトライを取り切る場面もありました。チームとして良いイメージを共有できていたので、その感覚を大切にするよう意識付けを行っていました。
毎試合、ホスト・ビジターを問わず熱心に応援してくださるファンの皆さまに、今日は勝利を届けたかったという思いがあります。残り1試合はビジターゲームとなりますが、自分たちのラグビーをやり切りたいと思います。今季の課題を踏まえ、選手一人ひとりが取り組みを見直しながら来季に向けて成長していきますので、引き続き応援をよろしくお願いします」
マツダスカイアクティブズ広島
マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(右)、井上陽公ゲームキャプテンマツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ
「予想していたとおり、非常にフィジカルな試合となりました。前回の対戦もタフな内容で僅差の勝利でしたが、今回はディフェンス面での規律が改善され、相手のトライを二つに抑えることができました。
一方で、ラインアウトには課題が残っていると感じています。来週の狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)戦に向けて、しっかりと修正していきたいと考えています」
──優勝、そして、2連覇について率直なお気持ちと、全勝優勝が懸かる最終節に向けた準備について教えてください。
「チームとしても会社としても、これまで積み重ねてきたハードワークの成果だと感じています。常に高い基準を持ち、毎試合その基準でプレーすることを目標に取り組んできました。その中で優勝できたことに、大きな誇りをもっています。
最終節の狭山RG戦に向けては、いくつか修正すべき点があると考えています。昨季の(D2/D3)入替戦の経験も踏まえ、しっかりと準備していきたいと思います。またメンバーを大きく入れ替える予定ですが、これは以前から計画していたものです。(D2/D3)入替戦に向けてコンディションを最優先に整えるためであり、ベストな状態で臨めるよう準備を進めています。昨季は準備の面で課題もありましたが、今季はより良いコンディションに仕上がっていると感じています」
マツダスカイアクティブズ広島
井上陽公ゲームキャプテン
「今回の試合は、フィジカルでしっかりと前に出ることができ、アタックで勢いに乗れた点が勝因だったと感じています。
その一方で、細かなミスなど修正すべき課題も明確になりました。レギュラーシーズンの残り1試合、そして(D2/D3)入替戦に向けて、そうした点をしっかり改善していきたいと考えています」
──前半は風下からのスタートでしたが、どのような点を意識してゲームメークしていましたか。
「前半はあえて風下を選択しました。それは自分たちのディフェンスに強い自信があったからです。風下の状況でも自分たちがスコアを重ねる一方で、ディフェンスでは相手に得点を許さない展開を作ることができ、想定どおりの試合運びができたと感じています。
これまで後半に課題が残る試合も多かったため、後半に自分たちが優位に試合を進められるように、とこの選択をしましたが、結果として狙いどおりに試合を進められたのではないかと思います」



























