2023.04.25NTTリーグワン2022-23 D3 第15節レポート(WG昭島 62-34 中国RR)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン3 第15節
2023年4月23日(日)13:00 荻野運動公園陸上競技場 (神奈川県)
クリタウォーターガッシュ昭島 62-34 中国電力レッドレグリオンズ

昇格というさらなる高みへ。ディビジョン3得点王と2年目の“好相性コンビ”が入替戦へ視界良好

ディビジョン3で得点王となったクリタウォーターガッシュ昭島のアンドリュー・ディーガン選手

NTTジャパンラグビーリーグワン 2022-23 ディビジョン3 第15節。リーグ戦最終節はクリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)が中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)を62対34で圧倒。ホストゲーム2連勝でリーグ戦を締めくくった。

「入りはすごく良かった。そのまま得点を重ねることができたのは今季初だと思います」と、試合を振り返るのはWG昭島の10番アンドリュー・ディーガン。この試合でも得点を重ね、ディビジョン3得点王に輝いた。今季は同じポジションの林田拓朗の台頭により、スタートから出場する機会はこれまでよりも減った。しかし、それでも終わってみれば、得点王になってしまうのは、さすがとしか言いようがない。

アンドリュー・ディーガンと言えばキックの精度の高さ。その秘訣について問うと、「スキルとしては難しいが、プロセスは簡単なので(キックの際は)考え過ぎないようにしている。考え過ぎると自問自答するだけなので。今季は難しいキックはなかったかな」と、穏やかに教えてくれた。「ここから上(ディビジョン2)に行くにはチーム全体が同じベクトルを向いていかないといけない。いいところでペナルティを取れれば得点を狙っていきたい」と、入替戦でも得意なキックでチャンスを狙う。

もう一人、この試合で目を引いたのは、アンドリュー・ディーガンとコンビを組んだスクラムハーフの杉原駿。「まだ磨き切れていない若き才能」とアンドリュー・ディーガンに評される2年目が今季初トライを挙げて、入替戦出場に向けて前進した。「『ラックの近くのところが空いている』と話をしていたので、ずっと狙っていました。ペナルティをもらったときに中国RRの選手が油断していて、自分の手元にボールがあったのでいけると思いました」と、うれしそうに話す。

「ゲームメークは(アンドリュー・)ディーガンに任せています。(アンドリュー・ディーガンとは)アタックマインドが一緒で、プレースタイルも合っている」と、この試合でも息の合ったところを見せてくれた。

2週間後に迫る入替戦の相手は釜石シーウェイブスRFCと決まった。ディビジョン2昇格というさらなる高みを目指し、チームはまた一つ階段を上がろうとしている。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島のワイクリフ・パールー ヘッドコーチ(右)と石井洋介 キャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「勝てたことは良かったです。入替戦(に進むこと)が決まっていたので、精神的にタフなゲームでしたが、前半は完璧でした。すべてプランどおりに遂行できました。後半のところでは、中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)がフィジカルで圧倒していたことが目立ちました」

──後半に点差を詰められてしまった要因をどう考えていますか?

「単純にフィジカルのところで中国RRが上回っていたと思います。後半は特に勢いに乗っていて、そうなると止めるのは難しい。入替戦では今日の前半を基準にプレーしていきたいです。相手のプレースタイルに関係なく、自分たちの勢いを付けるためにはシンプルにプレーすることが必要です」

──入替戦の相手が釜石シーウェイブスRFCと決まったが、どういう試合をしたいか。

「相手は体も大きいですし、フィジカルなチームだと思います。ただ、相手にフォーカスするより、まずは自分たちの精度を上げていきたい。『やってやろう』、という気持ちでいっぱいです」

クリタウォーターガッシュ昭島
石井洋介 キャプテン

「入替戦(の進出)が決まっている試合だったのでモチベーションが難しかったですが、いいゲームの入りができたことは収穫でした。ただ、点差が離れてしまい、後半はメンタルが崩れてしまったのは反省です。全体をとおしてはいいゲームができたと思います」

──最初のペナルティでショットを選んだ理由は?

「まずは勝ちにいく、という意識でショットを選択しました」

──後半に点差を詰められてしまった要因をどう考えていますか?

「点差がついてからはディフェンスのところで体を張り切れなかったです。フィジカルの部分でうまくいきませんでした」

──入替戦の相手が釜石シーウェイブスRFCと決まったが、どういう試合をしたいか。

「相手はフォワード陣が体を張って、コンタクトが強いチームという印象です。ただ、これまでリーグ戦を戦ってきた中で、相手よりも自分たちのラグビーがどれだけ遂行できるのかにフォーカスを置いているので、そこの精度をさらに上げていくことが重要だと思います」

中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズの岩戸博和 ヘッドコーチ(右)と西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和 ヘッドコーチ

「クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)のバックスリーのスピードある選手にやられてしまいました。セットピースでもWG昭島が上回っていて、前半にトライを取られ過ぎました。後半はフォーカスポイントを挙げて、そこに対して選手たちがしっかりとアプローチしてくれたことは評価したいです。ロッカールームでキャプテンが言っていましたが、自分たちの良いところと悪いところが全部出た最終戦だったと思います。これを来年度のシーズンにどう生かしていくか、広島に帰ってからしっかりと見直していきたいです」

──後半は具体的にどういったところを修正しましたか?

「バックスでいうとディフェンスのところで、人数がしっかりといるときに、きちんとプレッシャーを与えていこうと話をしました。アタックについてはランしてほしい選手がいらないパスをして、パスカットされたというシーンが何度もあったので、もっと強気にいってほしいという話をしました」

──今季はディビジョン3最下位という結果となった。今季の総括を。

「同じチームと3試合することは、なかなかない経験でした。最初は(第1クールを)2勝2敗で終えて、ターニングポイントとして挙げる試合としては第1クールと第2クールの九州電力キューデンヴォルテクス戦です。そこでいいゲームができず、ズルズルといってしまいました。毎試合成長していこうと話をしていますが、そこの階段は確実に上がっていけたと思います。ただ、階段を上がるスピードがほかのチームより遅かったと思います。来季はそこをしっかり修正していきたいです」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン

「前半、敵陣に入ったときに、強みであるモールを組む前にラインアウトでスティールされてしまったのが痛かったです。そこからクリタウォーターガッシュ昭島に流れをつかまれてしまい、大量失点につながってしまったと思います。ハーフタイムで修正ポイントを話して、後半はいいラグビーができた時間帯もありましたが、甘い部分も出てしまいました。チームの良いところと悪いところが全部出た試合だったと思います。来季は入替戦に出場できるように各自レベルアップしていきたいです」

──後半は具体的にどこを修正したのか。

「フォワード陣としては、ラインアウトの修正とアタックのセットスピードが遅かったので、そこをやり直そうということをポイントに挙げていました」

──今季の総括をお願いします。

「今季は2勝しかできませんでした。第1クールはいいラグビーができましたが、九州電力キューデンヴォルテクス戦から歯車が狂ってしまいました。強みにしていたディフェンスのところの意識が薄れてしまい、そこを修正しているつもりではいたのですが、最後までうまくいきませんでした。ヘッドコーチが言っていたとおり、チームとして成長はしているのですが、成長のスピードがほかのチームより遅かったと思います。ただ、人数が少ないチーム状況の中で大きいけが人を出さず、1試合も放棄することなくプレーできたのは良かったと思います」

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