NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月13日(日)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 東京サントリーサンゴリアス
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)
バーナー症候群。首や肩に強い衝撃が加わり、腕に向かう神経が一時的に圧迫・けん引されて生じる神経症状で、焼けるような痛みが走ることからそう呼ばれる。
安定したプレーで1番を背負うことも多い海士広大は2023年、入団7年目にしてプロ転向を果たす。だが、プレシーズン中にバーナー症候群を発症。プロとして最初のシーズンとなった昨季は苦悩の1年となった。
試合中、痛みは予告なく襲い掛かってきては、彼の動きを停止させた。その感覚は息を潜めて、常に待ち伏せしている。海士は戦い続けることに恐怖を感じた。
「僕の強みでもあるブレイクダウンの部分がうまくいかなくなり、タックルの成功率も下がってしまいました。それで、昨季のプレシーズンにストーミーに相談したんです」
ストーミーとは、昨季新たにクボタスピアーズ船橋・東京ベイに加わったスコット・マクラウド アシスタントコーチの愛称。「首を正確な位置に置いていないから、痛くなるんだ。それはテクニックで修正できる」というマクラウド アシスタントコーチの助言は、海士が抱える恐怖心の根源を少しずつほどいていった。
また、逃げずに立ち向かうべき理由もあった。昨年4月に第一子が誕生。守るべき家族の笑顔が、海士の背中を強く押した。
「もっと頑張らないといけないなって。ウチの子が大きくなって、僕がラグビーをやっていたことを覚えていてくれるくらいまでは続けたいです」
今季、戦いを重ねていく中で、待ち伏せしていた恐怖は消え失せた。次なる相手は東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。舞台は地元大阪の東大阪市花園ラグビー場でのホストゲームで迎え撃つ。
「花園での東京SG戦には、いいイメージがないんです」
21年5月、クボタスピアーズは花園で開催されたトップリーグのプレーオフトーナメント準決勝でサントリーサンゴリアスに敗戦。そもそも海士が入団した17年当時、クボタスピアーズはまだ発展途上の段階にあり、サントリーサンゴリアスは常にクボタスピアーズを上回る存在だった。
「だから、“レベルアップしたクボタスピアーズ”を見せられるのが(今節の)東京SG戦だと思っています。勝たなきゃいけない試合です」
2年前、東京SGとのプレーオフトーナメント準決勝。海士は試合開始早々にハイタックルを受け、1週間後の優勝決定戦を欠場するに至った。当時の心境を「悔しかったですが、優勝したうれしさのほうが大きかったです」と、苦痛を微塵も感じさせない笑顔で振り返る。だからこそ、今季は「優勝の瞬間、グラウンドに立っていたい」。自らの足で、花園の先にある頂点を目指す。
(藤本かずまさ)